シミュラクラ

[題名]:シミュラクラ [作者]:フィリップ・K・ディック  鬼才P・K・ディック氏の作品では、しばしば「本物と偽物」という構図が登場します。一見すると本物と見分けのつかない存在が現実を侵食していくというもので、例えば名作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』では人間そっくりのアンドロイドがこの役割を果たします。  本書の題名『シミュラクラ』は、「肖像・似姿・模造品」などという意味…

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星間パトロール 太陽強奪

[題名]:星間パトロール 太陽強奪 [作者]:エドモンド・ハミルトン  〈星間パトロール・シリーズ〉に属する五編のエピソードを集めた連作中編集です。  本シリーズは収録作品『激突する太陽』を嚆矢としますが、この時点ではまだ人類は本格的に太陽系外へ進出しておらず、事件に当たる組織名も太陽系巡視隊("Interplanetary Patrol":意味的には「惑星間パトロール」)です。 …

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星間パトロール 銀河大戦

[題名]:星間パトロール 銀河大戦 [作者]:エドモンド・ハミルトン  スペースオペラ作家ハミルトン氏の〈星間パトロール・シリーズ〉に属するお話で、作品発表順では四番目に当たる長編です(残りの五つは中編)。ハミルトン氏は執筆期間が長いのですが、本作はかなり初期の作品ですね。  〈星間パトロール・シリーズ〉最大の売りは、何と言っても“星間パトロール("Interstellar Pat…

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異次元を覗く家

[題名]:異次元を覗く家 [作者]:ウィリアム・ホープ・ホジスン  怪奇小説作家ウィリアム・H・ホジスン氏による、ホラータッチの異色作品です(原題は"The House on the Borderland")。分類としては、氏の〈ボーダーランド三部作〉の第二作目に属しますが、特にストーリー上の繋がりはない模様。(未読のため詳細不明)  お話としては少々アンバランスで、ホラー要素とし…

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虚空の遺産

[題名]:虚空の遺産 [作者]:エドモンド・ハミルトン  スペースオペラの名手エドモンド・ハミルトン氏の、やや異色な宇宙SFです。  本作は、月で発見された太古の遺跡から知識を得て、現代地球人が星間宇宙へと乗り出すという、いかにもな宇宙活劇のスタイルを取っています。しかしながら、設定から想像されるような爽快感はなく、厭世的な重苦しさに満ちた作品に仕上がっており、むしろアンチ・スペー…

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ドウエル教授の首

[題名]:ドウエル教授の首 [作者]:アレクサンドル・ベリャーエフ  ソビエト連邦時代のロシアにおける偉大なSF作家ベリャーエフ氏の、医学・生命科学を扱ったデビュー作です。日本ではジュブナイル版が『生きている首』/『合成人間ビルケ』などのタイトルで抄訳されており、学校の図書室で読まれた方も多いのではないでしょうか。  作品の初出は一九二五年とされ、先に短編版があった模様ですが詳細は…

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前世再生機

[題名]:前世再生機 [作者]:キース・ローマー  やや変わった味付けの、ヒロイック・ファンタジー風スペースオペラです。(原題は"A Trace of Memory")  キース・ローマー氏と言えばユーモアSFで知られる作家さんですけど、本書はユーモラスな要素こそあるもののコメディではありません。長編第二作目のようで、執筆時期は早期の作品です。  面白いのは、キャラクタの立ち位置…

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大宇宙の探究者

[題名]:大宇宙の探究者 [作者]:E・E・スミス  スペースオペラの巨匠E・E・スミス氏による異色作品です。(原題:"Subspace Explorers")  あらかじめ述べておくと、本書はかなりの色物です(^^;) 本筋としては、心霊能力(いわゆる超能力)を得た主人公とその仲間達が社会を変革していくという流れなのですが、そこに労使紛争やイデオロギーの対立が関わってくるという不…

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巨神降臨

[題名]:巨神降臨 [作者]:シルヴァン・ヌーヴェル ※このレビューには前巻までのネタバレがあります。ご注意ください。  古代の巨大ロボット発掘を端とする出来事を描いた〈テーミス・ファイル〉三部作の最終巻です。  前巻『巨神覚醒』では、地球に到来した巨大ロボットをローズが撃退した後、ローズ達を乗せたテーミスが異星へ転移してしまうところで次巻に続く、いわゆるクリフハンガー・エン…

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望郷のスターウルフ

[題名]:望郷のスターウルフ [作者]:エドモンド・ハミルトン  〈スターウルフ・シリーズ〉第三巻です。  シリーズの最後に、今まで断片的に語られるだけだったスターウルフ及びヴァルナ人がようやく作中に登場することになります。無慈悲かつ誇り高い、恐るべき宇宙略奪者達ですね。  また、本巻ではケイン君が主人公らしい活躍を見せてくれます。前々巻・前巻では外人部隊の毛色の変わったメンバー…

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さいはてのスターウルフ

[題名]:さいはてのスターウルフ [作者]:エドモンド・ハミルトン  〈スターウルフ・シリーズ〉第二巻です。  前作『さすらいのスターウルフ』で、外人部隊へ所属することになったケイン君。本作でも引き続き、ディルロ隊長の下で傭兵のミッションを遂行することになります。  今回の任務は、行方不明になった大富豪の弟の捜索です。果たして、彼らは無事に目的を達成することができるのでしょうか。…

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さすらいのスターウルフ

[題名]:さすらいのスターウルフ [作者]:エドモンド・ハミルトン  スペースオペラ界の巨匠エドモンド・ハミルトン氏による、〈スターウルフ・シリーズ〉第一巻です。  ハミルトン氏の作品と言えば〈キャプテン・フューチャー・シリーズ〉を始めとする華やかなスペースオペラが挙げられますけど、本シリーズは一転して渋めの内容になっています。主人公に当たるケインは悪名高い略奪集団スターウルフ出身…

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地球最後の砦

[題名]:地球最後の砦 [作者]:A・E・ヴァン・ヴォクト  奇才ヴォクト氏による、時間SFを納めた中短編集です。  本書は中編『地球最後の砦』と短編『消されし時を求めて』の二編が収録されており、どちらも時間移動を扱ってはいるものの互いに関連性はありません。  『地球最後の砦』は、主人公となる女性ノーマと、その元恋人ガースンの二人の視点から描かれており、話が進むにつれ様々な要素が…

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オッド・ジョン

[題名]:オッド・ジョン [作者]:オラフ・ステープルドン  哲学者にして作家オラフ・ステープルドン氏による、超人類ホモ・シューピリアの少年の生を描いた〈ミュータントもの〉の小説です。  作品が発表されたのは一九三五年で、まだジャンル自体がそれほど成熟してはいない時代と思われます。しかしながらこの時期に、パルプ小説やアメコミのようなスーパーヒーローではなく、極めてリアリティのある「…

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火星航路SOS

[題名]:火星航路SOS [作者]:E・E・スミス  スペースオペラの巨匠E・E・スミス氏による、太陽系を舞台とした冒険活劇です。(原題は"Spacehounds of IPC"で、『惑星連合の戦士』の名前でも邦訳されています)  ドク・スミスの代表作は〈スカイラーク・シリーズ〉と〈レンズマン・シリーズ〉の二つですが、本書はどちらにも属さない単作です。執筆年は『スカイラーク3号』と…

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タイム・パトロール/時間線の迷路

[題名]:タイム・パトロール/時間線の迷路 [作者]:ポール・アンダースン  二十世紀SFの中堅作家ポール・アンダースン氏の連作、〈タイム・パトロール・シリーズ〉のエピソードです。  アンダースン氏はかなり息の長い作家さんですが、中でも時間改変を阻止する警察組織タイム・パトロールを描いた〈タイム・パトロール・シリーズ〉は、デビュー初期から晩年に至るまで書き続けられており、氏のライフ…

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ガス状生物ギズモ

[題名]:ガス状生物ギズモ [作者]:マレイ・ラインスター  目に見えないガスの体を持つ生命体ギズモ達との戦いを描いた、ディザスター・ノベルです。(原題は"War with the Gizmos")  作者のマレイ・ラインスター氏は息の長い作家さんで、SF畑に限定しても、黎明期の一九一〇年代から円熟を迎えた一九六〇年代まで執筆活動を続けられました。また、SF以外でも冒険小説や推理小…

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イタルバーに死す

[題名]:イタルバーに死す [作者]:ロジャー・ゼラズニイ  鬼才ゼラズニイ氏による、遠未来の宇宙を舞台としたサスペンスSFです。  冒頭からぶっちゃけてしまいますが、ゼラズニイ氏は本書を不出来な作品と考えていたようで、「本を一つ抹殺できるとしたら、それは『イタルバーに死す』になるだろう」とまでおっしゃっています(^^;) 本書はゼラズニイ氏が脱サラして専業作家になったときに執筆さ…

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泰平ヨンの未来学会議

[題名]:泰平ヨンの未来学会議 [作者]:スタニスワフ・レム  かなりブラックかつ鋭い視点が特徴的な、巨匠スタニスワフ・レム氏のユーモアSF〈泰平ヨン・シリーズ〉の一エピソードです。  作品形式としては、『泰平ヨンの現場検証』と同じく長編小説の形態を取っていますが、あるシチュエーションにより物語が大きく二つに分かれています。本書のメインテーマとなるのは、化学物質による精神のコントロ…

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アルマダ

[題名]:アルマダ [作者]:アーネスト・クライン  自分がプレイしているコンピュータゲームが、実は単なる架空のゲームではなく、現実とリンクしているのでは――そんなゲーマーの妄想(^^;)が本当になるシチュエーションを描いたのが、本作『アルマダ』です。  アーネスト・クライン氏の出世作『ゲームウォーズ』(原題:"Ready Player One")は、八十年代前後のポップカルチャー…

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