月は地獄だ!

[題名]:月は地獄だ! [作者]:ジョン・W・キャンベル  本書は、月探検で遭難した宇宙飛行士達が、過酷な環境の中で必死に生き延びようとするサバイバルSFです。  初出は一九五〇年で、さすがに現代の視点で見ると、現実に即していなかったり、荒唐無稽だったりする場面も見られるのですが、展開そのものは今でも十分に楽しめます。むしろ、月旅行が絵空事だった時代に書かれた作品とは思えないほど緻…

続きを読む

緑の星のオデッセイ

[題名]:緑の星のオデッセイ [作者]:フィリップ・ホセ・ファーマー  フィリップ・ホセ・ファーマー氏の初期作品です。デビュー作ではないものの、最初に出版された長編小説に当たるようです。  舞台は未来のとある惑星上で、未開惑星に不時着した主人公の冒険が描かれます。どちらかというとヒロイック・ファンタジー寄りの内容となっており、ストーリーは比較的シンプルです。  ただ、後年〈リバー…

続きを読む

航路

[題名]:航路 [作者]:コニー・ウィリス  希代のストーリーテラーであるコニー・ウィリス氏による、臨死体験を扱った意欲作です。  作品の特徴として、臨死体験というデリケートな内容を扱いながら、一貫して宗教やオカルトとは距離を置いている点が挙げられます。主人公サイドの人々は、あくまで臨死体験を脳内で起きる何らかの心理学的・神経学的な現象と捉え、それを追求しようとします。もっとも、そ…

続きを読む

渦動破壊者

[題名]:渦動破壊者 [作者]:E・E・スミス  ドク・スミスの代表作〈レンズマン・シリーズ〉の番外編です。  作品背景としては、レンズマン世界に数多くの設定を倣い、直接の登場こそないものの作中人物がキムボール・キニスンとコンタクトを取る場面も存在します。ただ、内容そのものはさほど〈レンズマン・シリーズ〉と関連しているわけではありません。  時代設定としては、どうやら『第二段階レ…

続きを読む

マイルズの旅路

[題名]:マイルズの旅路 [作者]:ロイス・マクマスター・ビジョルド  ビジョルド氏の代表的作品群〈ヴォルコシガン・サガ〉のエピソードです。  作中時間では前作『外交特例』からおよそ七年後、外伝的扱いの『大尉の盟約』からは四年ほど後に相当するようです。(原語版では『大尉の盟約』の方が『マイルズの旅路』より後に執筆)  ある経緯からバラヤーを離れ惑星キボウダイニを訪れていたマイルズ…

続きを読む

三惑星連合軍

[題名]:三惑星連合軍 [作者]:E・E・スミス ※このレビューにはシリーズ全般のネタバレがあります。ご注意ください。  ドク・スミスの代表作である〈レンズマン・シリーズ〉のサブエピソード、前日談的ストーリーです。  〈レンズマン・シリーズ〉は、不死のレベルに到達した超種族アリシア人とエッドール人の対立というバックボーンがありますが、本書では長年に渡るエッドール人の暗躍と…

続きを読む

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン

[題名]:ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン [作者]:ピーター・トライアス  第二次世界大戦が枢軸国側の勝利で終結した世界にて、変容したかつてのアメリカ合衆国――ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパンの姿を、二人の主人公の目を通じて描く〈歴史IFもの〉です。しばしば、P・K・ディック氏の〈歴史IF〉『高い城の男』と、巨大ロボット&怪獣映画『パシフィック・リム』を混ぜ合わせたよう…

続きを読む

Child of Earth

[題名]:Child of Earth [作者]:E・C・タブ ※本レビュー後半では、大きなネタバレを含む考察を行っています。  〈デュマレスト・サーガ〉第三十三巻にして最終巻です。(残念ながら、現時点で未翻訳)  本巻はやや経緯が特殊で、別の形で発表された『Child of Earth』と『Figona』という二つの短編を一つにまとめたお話になります。どうやら、この二つは元…

続きを読む

The Return

[題名]:The Return [作者]:E・C・タブ  〈デュマレスト・サーガ〉第三十二巻です。  本巻は現時点で日本語に翻訳されていないのですが、実は執筆自体は前巻『最後の惑星ラニアン』からそれほど間を置かずに完了していたようです。詳細は不明ですけれど、出版社絡みのトラブルがあった模様(経緯は後述)。  本レビューは英語版を元にしていますが、英文の読み違いがあるかもしれません…

続きを読む

最後の惑星ラニアン

[題名]:最後の惑星ラニアン [作者]:E・C・タブ  〈デュマレスト・サーガ〉第三十一巻です。  日本語に翻訳されている〈デュマレスト・サーガ〉では最終巻に当たりますが、本家英語版はこの後に二冊存在します。内容的にも「最後の惑星」ではないのですが、そこはそういうものということで(^^;)  ある経緯を経て、デュマレストは聖地教徒の崇めるセレヴォックス寺院へ潜入することになりまし…

続きを読む

生命の惑星カスケード

[題名]:生命の惑星カスケード [作者]:E・C・タブ  〈デュマレスト・サーガ〉第三十巻です。  『遊民の惑星ライカン』にてサイバー・アヴロと対決したデュマレスト君ですが、本巻でも引き続きライカン上から物語が始まります。前巻からの時間経過はほぼない形ですね。  地球の座標を知るという男シュノートから情報を得る見返りに、デュマレストは伝説の場所リザムへ同行することになります。しか…

続きを読む

遊民の惑星ライカン

[題名]:遊民の惑星ライカン [作者]:E・C・タブ  〈デュマレスト・サーガ〉第二十九巻です。  少女メロームの特殊能力で地球の在処を突き止めることに失敗したデュマレストは、新たな手がかりを得ようと旅だったところ、またしてもトラブルに巻き込まれてしまいます(^^;)  そして、執拗に彼を追い続けるサイバー・アヴロ。その執念の果てに、惑星ライカンの上で二度目の対決が行われることに…

続きを読む

超能力惑星バーツ

[題名]:超能力惑星バーツ [作者]:E・C・タブ  〈デュマレスト・サーガ〉第二十八巻です。  タイトルに「超能力」とあり、実際にも特殊能力を有するキャラクタが登場するので間違いではないのですが、本作で主要な位置を占めるのはむしろサーカスです。  超能力を持つ少女メロームの力を利用して、デュマレストは地球の在り処を突き止めようとしますが、メロームはサーカスに売り飛ばされてしまい…

続きを読む

鳥人の惑星ヘヴン

[題名]:鳥人の惑星ヘヴン [作者]:E・C・タブ  〈デュマレスト・サーガ〉第二十七巻です。  前巻『女帝の惑星ジュールダン』で宇宙船を手に入れ、にわか自由貿易業者となった我らがデュマレスト君(^^;) ザブルで得た情報を元に向かった惑星には、しかし彼が知らない奇妙な種族が生息していたのです。  ザブルの長老から得た『天国に至る道』の示す座標が地球だと信じ、ルチータ号改めエ…

続きを読む

女帝の惑星ジュールダン

[題名]:女帝の惑星ジュールダン [作者]:E・C・タブ  〈デュマレスト・サーガ〉の一エピソードです。  日本語版では二十五巻になりますが、英語版では本来二十六巻に相当します。  本書は実質的に『天翔ける惑星ザブル』と繋がったお話で、前半はザブルの上で物語が進行します。また、作中で「ある出来事」が起こり、それが次巻『鳥人の惑星ヘヴン』へと続きます。〈デュマレスト・サーガ〉も終盤…

続きを読む

天翔ける惑星ザブル

[題名]:天翔ける惑星ザブル [作者]:E・C・タブ  〈デュマレスト・サーガ〉の一エピソードです。  日本語版では二十四巻になりますが、英語版では本来二十五巻に相当します。また、次巻『女帝の惑星ジュールダン』と話が繋がった、実質的には前後編となっています。  ある経緯から、黄道十二宮の描かれた冬眠容器を目にすることになったデュマレスト。その装置の持ち主達は、人工世界ザブルに生き…

続きを読む

真珠の惑星サカウィーナ

[題名]:真珠の惑星サカウィーナ [作者]:E・C・タブ  〈デュマレスト・サーガ〉の一エピソードです。  本巻は及び続巻『天翔ける惑星ザブル』/『女帝の惑星ジュールダン』は、原作と日本語翻訳版で巻数が異なっています。原作では『サカウィーナ』→『ザブル』→『ジュールダン』ですが、日本語版では『ザブル』→『ジュールダン』→『サカウィーナ』の順に刊行されています。  『ヒアカーヌ』/…

続きを読む

異形の惑星クルディップ

[題名]:異形の惑星クルディップ [作者]:E・C・タブ  〈デュマレスト・サーガ〉第二十三巻です。  本巻では引き続き、地球の在り処を突き止めたとされる地質学者ルディ・ブーレイの足跡をデュマレストが追いかけることになります。  一方、サイクラン側ではついに、中央知性体の異常が組織を揺るがす事態へと発展していたのです。  エリシウスで命を落とした元大学教授ルディ・ブーレイ(…

続きを読む

秘薬の惑星エリシウス

[題名]:秘薬の惑星エリシウス [作者]:E・C・タブ  〈デュマレスト・サーガ〉第二十二巻です。  デュマレストは今回、地球の情報を得るために鉱山の採鉱を行うことになります。鉱夫として働く場面はこれまでもありましたが、今回は指示する側ですね。  そして、宿敵であるサイクラン側にも動きがあります。中央知性体の狂った脳を活用することで、ある目的を達成しようと考えたのです。  …

続きを読む

空想惑星エスリン

[題名]:空想惑星エスリン [作者]:E・C・タブ  〈デュマレスト・サーガ〉第二十一巻です。  本巻において、我らがデュマレスト君は仮想世界へ赴くことになります。何でも意のままに創造でき、望むものは全て手にすることができる夢のような世界です。  ある登場人物はそれを天国と呼び、デュマレストはこう呼びます――地獄と。  農耕惑星オノールディのとある村を訪れていたデュマレスト…

続きを読む