ドルセイ魂

[題名]:ドルセイ魂 [作者]:ゴードン・R・ディクスン  未来史〈チャイルド・サイクル〉の一エピソードです。  本書は中編二部構成からなるお話で、元々は後半の『兄弟たち』が独立した短編として発表され、"The Spirit of Dorsai"(原書)が出版される際に前半の『アマンダ・モーガン』と、間を繋ぐエピソードが書き下ろされた模様です。  また、原書自体が豊富な挿絵が盛り…

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兵士よ問うなかれ

[題名]:兵士よ問うなかれ [作者]:ゴードン・R・ディクスン  未来史〈チャイルド・サイクル〉の一エピソードです。  元々、このお話は短編として書かれ、ヒューゴー賞を受賞しています。本書はその長編版にあたります。  作品の時代は、ほぼ『ドルセイ!』とオーバーラップしており、ドナル・グレイム君も少しだけ登場する場面があります。もっとも、本書の主人公はドルセイ人ではなく、旧地球出身…

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ドルセイへの道

[題名]:ドルセイへの道 [作者]:ゴードン・R・ディクスン  未来史〈チャイルド・サイクル〉の一エピソードです。  元々のディクスン氏の構想では、〈チャイルド・サイクル〉は十四世紀から始まる壮大な物語になる予定だったようです。シリーズは未完に終わってしまったため、本書の舞台である二十一世紀が一番古い年代になります。作中設定では、人類の恒星間進出を目前にした時代ですね。  原題は…

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ドルセイ!

[題名]:ドルセイ! [作者]:ゴードン・R・ディクスン  G・R・ディクスン氏の未来史、〈チャイルド・サイクル("Childe Cycle")〉に属する作品です。  ディクスン氏と言うと、ポール・アンダースン氏と共著されたユーモアSF〈ホーカ・シリーズ〉(テディ・ベア似の可愛らしい異星人ホーカ達のお話です)で知られる方も多いでしょうけど、代表作となるとこちらの〈チャイルド・サイク…

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砂漠の惑星

[題名]:砂漠の惑星 [作者]:スタニスワフ・レム  二十世紀旧東欧圏の巨匠レム氏による、非生命存在との接触を描いた〈ファーストコンタクトもの〉です。  多くのSF作品に登場する異星生命体はしばしば容易に地球人類との意思疎通を図ることができますが(^^;)、レム氏はそこに疑念を抱いていたようです。氏のそうした考えを反映した作品の一つが、名作『ソラリスの陽のもとに』ですね。同作におけ…

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銀河よ永遠なれ

[題名]:銀河よ永遠なれ [作者]:ポール・アンダースン  価値観の異なる文明との接触を描いた、アンダースン氏のスペースオペラです。  本書はアンダースン氏の未来史〈惑星間協調機関シリーズ〉に属するエピソードなのですが、シリーズに含まれる作品はあまり日本語に翻訳されていません。英語圏では"The Psychotechnic League"として知られており、アイザック・アシモフ氏の…

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楽園炎上

[題名]:楽園炎上 [作者]:ロバート・チャールズ・ウィルスン  地球を取り囲む謎の生命圏が人類社会を脅かす、サスペンスタッチの侵略SFです。  本書における歴史は、我々の知る歴史とは若干異なっており、第一次世界大戦後辺りから大きく分岐するようです。第二次世界大戦は起きず、世界情勢は比較的安定しています。  また、地球を包む電波層の存在により、衛星中継の必要なく長距離の電波送信が…

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軌道学園都市フロンテラ

[題名]:軌道学園都市フロンテラ [作者]:ジョーン・スロンチェフスキ  静止衛星軌道上に置かれたスペースハビタット、フロンテラ大学を舞台とする近未来SFです。  本書の内容はかなり盛りだくさんで、ジャンル分けが困難なのですが(^^;)、やはりメインとなるのは主人公ジェニーを中心に据えた青春小説でしょうか。  これに加え、環境/政治/宗教/情報インフラ/デザイナーズ・チャイルドと…

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巨神計画

[題名]:巨神計画 [作者]:シルヴァン・ヌーヴェル  本書は、地中から発見された古代の巨大ロボットを復元し、再び動作させる過程を綴った異色の巨大ロボットSFです。  作品の特徴として、ほぼ全編がインタビュー形式で記述されていることが挙げられます。インタビュアーが登場人物それぞれに面談を行った、その会話記録を文章化されたものが読者に提示されるという形式です。  アメリカ合衆国…

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銀河帝国を継ぐ者

[題名]:銀河帝国を継ぐ者 [作者]:ガース・ニクス  遥かな未来の銀河を舞台にしたスペースオペラです。  本書は英語版の発表が二〇一二年と新しい作品ですけれど、SF黄金時代の古き良きスペースオペラ、特にハインライン氏のジュブナイルSFを彷彿とさせる部分が魅力ですね。銀河帝国、強化改造された人間、宇宙軍士官学校といったお馴染みの設定を踏襲しつつも、様々なガジェットにより古さを感じさ…

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月は地獄だ!

[題名]:月は地獄だ! [作者]:ジョン・W・キャンベル  本書は、月探検で遭難した宇宙飛行士達が、過酷な環境の中で必死に生き延びようとするサバイバルSFです。  初出は一九五〇年で、さすがに現代の視点で見ると、現実に即していなかったり、荒唐無稽だったりする場面も見られるのですが、展開そのものは今でも十分に楽しめます。むしろ、月旅行が絵空事だった時代に書かれた作品とは思えないほど緻…

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緑の星のオデッセイ

[題名]:緑の星のオデッセイ [作者]:フィリップ・ホセ・ファーマー  フィリップ・ホセ・ファーマー氏の初期作品です。デビュー作ではないものの、最初に出版された長編小説に当たるようです。  舞台は未来のとある惑星上で、未開惑星に不時着した主人公の冒険が描かれます。どちらかというとヒロイック・ファンタジー寄りの内容となっており、ストーリーは比較的シンプルです。  ただ、後年〈リバー…

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航路

[題名]:航路 [作者]:コニー・ウィリス  希代のストーリーテラーであるコニー・ウィリス氏による、臨死体験を扱った意欲作です。  作品の特徴として、臨死体験というデリケートな内容を扱いながら、一貫して宗教やオカルトとは距離を置いている点が挙げられます。主人公サイドの人々は、あくまで臨死体験を脳内で起きる何らかの心理学的・神経学的な現象と捉え、それを追求しようとします。もっとも、そ…

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渦動破壊者

[題名]:渦動破壊者 [作者]:E・E・スミス  ドク・スミスの代表作〈レンズマン・シリーズ〉の番外編です。  作品背景としては、レンズマン世界に数多くの設定を倣い、直接の登場こそないものの作中人物がキムボール・キニスンとコンタクトを取る場面も存在します。ただ、内容そのものはさほど〈レンズマン・シリーズ〉と関連しているわけではありません。  時代設定としては、どうやら『第二段階レ…

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マイルズの旅路

[題名]:マイルズの旅路 [作者]:ロイス・マクマスター・ビジョルド  ビジョルド氏の代表的作品群〈ヴォルコシガン・サガ〉のエピソードです。  作中時間では前作『外交特例』からおよそ七年後、外伝的扱いの『大尉の盟約』からは四年ほど後に相当するようです。(原語版では『大尉の盟約』の方が『マイルズの旅路』より後に執筆)  ある経緯からバラヤーを離れ惑星キボウダイニを訪れていたマイルズ…

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三惑星連合軍

[題名]:三惑星連合軍 [作者]:E・E・スミス ※このレビューにはシリーズ全般のネタバレがあります。ご注意ください。  ドク・スミスの代表作である〈レンズマン・シリーズ〉のサブエピソード、前日談的ストーリーです。  〈レンズマン・シリーズ〉は、不死のレベルに到達した超種族アリシア人とエッドール人の対立というバックボーンがありますが、本書では長年に渡るエッドール人の暗躍と…

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ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン

[題名]:ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン [作者]:ピーター・トライアス  第二次世界大戦が枢軸国側の勝利で終結した世界にて、変容したかつてのアメリカ合衆国――ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパンの姿を、二人の主人公の目を通じて描く〈歴史IFもの〉です。しばしば、P・K・ディック氏の〈歴史IF〉『高い城の男』と、巨大ロボット&怪獣映画『パシフィック・リム』を混ぜ合わせたよう…

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Child of Earth

[題名]:Child of Earth [作者]:E・C・タブ ※本レビュー後半では、大きなネタバレを含む考察を行っています。  〈デュマレスト・サーガ〉第三十三巻にして最終巻です。(残念ながら、現時点で未翻訳)  本巻はやや経緯が特殊で、別の形で発表された『Child of Earth』と『Figona』という二つの短編を一つにまとめたお話になります。どうやら、この二つは元…

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The Return

[題名]:The Return [作者]:E・C・タブ  〈デュマレスト・サーガ〉第三十二巻です。  本巻は現時点で日本語に翻訳されていないのですが、実は執筆自体は前巻『最後の惑星ラニアン』からそれほど間を置かずに完了していたようです。詳細は不明ですけれど、出版社絡みのトラブルがあった模様(経緯は後述)。  本レビューは英語版を元にしていますが、英文の読み違いがあるかもしれません…

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最後の惑星ラニアン

[題名]:最後の惑星ラニアン [作者]:E・C・タブ  〈デュマレスト・サーガ〉第三十一巻です。  日本語に翻訳されている〈デュマレスト・サーガ〉では最終巻に当たりますが、本家英語版はこの後に二冊存在します。内容的にも「最後の惑星」ではないのですが、そこはそういうものということで(^^;)  ある経緯を経て、デュマレストは聖地教徒の崇めるセレヴォックス寺院へ潜入することになりまし…

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