ロボット

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 ロボットという単語の定義は、文脈によって多少ゆらぎがあるようです。現在、ロボットと呼ばれる対象物が既に存在していることがその一因かもしれません。大雑把な言い方としては、「人間の代わりに仕事をする知性を持った機械」といった辺りになるでしょうか。
 ロボットという言葉を生み出したのは、チェコの作家カレル・チャペック氏です。チェコ語で「労働」を意味する単語をもじったのだとか。もっとも、チャペック氏の戯曲『R.U.R.』に登場するロボットは、機械というよりもバイオテクノロジー的な人造人間のようですが。
 ロボットのうち姿を人間に似せたものを、特にアンドロイドとも呼んだりします。

 SFでは、ロボットが人間に反乱を起こすという展開を頻繁に目にします(『R.U.R.』もそこに含まれますね)。あまりにも多すぎて、なんとかの一つ覚えと言いたくなるほどに(笑)
 ロボットという概念が発明される前ですが、『フランケンシュタイン』で怪物が創造主たるフランケンシュタイン博士に造反するという同様の展開を既に見て取ることができます。このためアイザック・アシモフ氏は、そうした自らが生み出した創造物に対する恐れをフランケンシュタイン・コンプレックスと名付けて揶揄しています。

 アシモフ氏はこの「ロボット→反乱」という紋切り型の展開に嫌気がさしていたようで、ご自身が「そうではないロボットSF」を書くことを決心されました。
 その結果生まれたのが、かの有名なロボット三原則です。そして、これを使った作品を多数世に送り出したことにより、氏はロボットSFの第一人者となります。
 アシモフ氏は「どんな人工製品にも危険を最小限にとどめるための考案がされている」と述べられています。確かに、反乱の恐れがあると知りながらロボットを売り出したら、PL法で訴えられちゃいますものね(^^;)
 氏が考えられたロボットに対する安全装置は、以下の三つの法則から成り立ちます。

・第一条:ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。

・第二条:ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。但し、与えられた命令が第一条に反する場合は、この限りではない。

・第三条:ロボットは、第一条及び第二条に反する恐れのない限り、自己を守らなければならない。

 アシモフ作品に登場するロボットは三原則が頭脳に組み込まれ、これに反する行動ができないようにされています。従って、反乱を起こすような心配はいらないわけですね。
 実際の工学としては、この三原則はあまり現実的ではないようです。そもそも現在の人工知能は、「人間とは何か」を認識することさえできていません。
 もっとも、ロボット三原則の価値はむしろ状況の制約という側面にあるでしょう。推理小説における密室殺人のように、起こり得ないはずのシーンを作り出すことで物語をいっそう面白くすることができるわけです。
 ただ、ロボットが人に反乱を起こすSFは未だ世に氾濫し続けていますね。アシモフ氏の作品タイトルを冠し、ロボット三原則を前面に押し出した映画ですら同様だったのは、残念と言うほかはありません(^^;)

 SFに出てくるような人間に近いロボットを現実に作ろうとしたとき、最も困難なのはロボットに搭載される人工知能でしょう。残念ながら、今はまだ真に知性を持った人工知能と呼べるものを作ることはできません。
 かつての人工知能研究は、現実世界とは切り離された記号処理の方向を向いていたようです。ところが近年、二足歩行ロボット等ハードウェアの研究が進むにつれ、運動制御と認知のメカニズムが従来考えられていたよりもずっと近いのではないかと考えられ始めています。
 ロボットのハードウェアとソフトウェアは、互いに影響を与えながら進展していくのかもしれません。

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