スペースコロニー

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 スペースコロニーとは、宇宙空間に人間の定住する場所を作ってしまおうというものです。言ってみれば宇宙ステーションの親玉みたいなものですが、宇宙ステーションが一時的に滞在する場所であるのに対して、スペースコロニーは恒久的な住みかとするためのものであることが最大の違いでしょうか。
 スペースコロニーは人間の住まう場所ですから、生活に不便を来してはいけません。気圧、温度、湿度等が地球上と同様である必要があります。加えて、重要なのは重力です。無重量状態では何かと不都合ですから、スペースコロニーは回転による遠心力で擬似的な重力を作り出すことになるでしょう。

 スペースコロニーというアイディアに具体性を持たせたのが、米プリンストン大学教授ジェラルド・K・オニール氏です。この構想をNASAが実際に検討し、建設案が作成されることになりました。
 オニール氏の案では、コロニーは規模によりいくつかのパターンに分かれます。そのうち、最も有名なのが島3号モデル、俗にオニール・シリンダーと呼ばれるものです。(某ロボットアニメにも登場していますね)
 島1号・2号が球形もしくはドーナツ型であるのに対し、島3号は円筒型が想定されています。直径六・五キロメートル、全長三十二キロメートルという巨大なもので、人々はこの円筒の内側に住むことになります。コロニーは百十四秒に一回という速さで自転しており、この結果生ずる遠心力は約一Gとなります。
 また、円筒は縦方向に六分割され、交互に陸地とガラスの部分に分けられます。円筒の外側には斜めに鏡が取り付けられ、太陽光がガラスを通してコロニー内部を照らすわけです。鏡の角度を変えれば、昼夜の変化を付けることも可能です。

 大きな構造物ですから、コロニー建造には相当な費用がかかることでしょう。ただ、この巨大さこそがスペースコロニーの利点でもあります。
 物理学者の福江純氏が試算したところによると、体積Vのコロニーに断面積Sの穴が空いたとき、時間tが経過した後の気圧比は

 ρ/ρ0 = 1/(1+58.66*(S/V)*t)^5

 となります。
 島3号モデルに直径一メートルほどの穴が空いたときの状況をこの式に当て嵌めてみると、気圧が半分になるまでにおよそ八十年かかることが分かります。巨大さ故に居住環境の変化が起こりにくくなっているわけです。

 本当にこのようなスペースコロニーが建造されることになるかどうかは不明です。かつては地球人口爆発の解決策と考えられたこともありましたが、島3号モデルでも収容人数は一千万人程度と、人口増加率には到底追いつきません。
 もっとも、人類が宇宙へ進出していくための足がかりとしては有用です。別の惑星をテラフォーミング(地球化)するよりもずっと安上がりですから。
 オニール・シリンダーの内側に立って、その全景を見渡してみる――そんな場面がいつか実現したら楽しそうだと思いませんか?

この記事へのコメント

  • コロニー職人

    閉鎖型多層コロニーならもっと多くの人間が暮らせるでしょう。外壁を1KMにして1階を4Mに仕切れば、縦20.41KM横KM高さ1000Mのマンションを想像して下さい。このスペースに何人が快適に暮らせる社会が作れるか、みなさんのアイデアを聞かせてください。
    2011年01月05日 10:37
  • Manuke

    空間利用率から考えると、オニール・シリンダーはかなり効率が悪いですね。太陽光を取り入れる為に陸地が狭くなるのも難点ですし。
    ただ、多層構造にしてしまうと上層部の重力が弱くなるという問題も……。
    多層化するなら、直径を大きめに取ったドーナツ型(スタンフォード・トーラス)が向いているように思います。ドーナツ径が十分に大きければ、階層を移っても重力の変化は小さくできますから。
    2011年01月06日 00:42
  • コロニー職人

    上層部の重力は、弱くなりますけど、月や火星よりも快適だとおもいます。外径6,5KMを1Gにした時の内径4,5KMの重力を教えて下さい。それに、コロニー内に重力差があることは、マイナスだけでは無いと思います。
    2011年01月10日 16:38
  • Manuke

    > 外径6,5KMを1Gにした時の内径4,5KMの重力を教えて下さい。

    遠心加速度は半径に比例しますから、径が約七割ならば〇・七Gですね。
    体感できるほどの差になりますから、個人的には少々居心地が悪いのではないかと思います。(重力自体の強弱ではなく、均質でないということが)

    > それに、コロニー内に重力差があることは、マイナスだけでは無いと思います。

    うーん、利点はもちろんあると思いますけど、居住が第一義であるスペースコロニーでは、環境の不均衡はあまり好ましくないような……。
    家と職場で重力が異なり、昼は一G、夜は〇・七Gというのはちょっと嫌ですし(^^;)

    そこら辺を逆手にとって、階層を下がることによる重力増加を肉体の鍛錬に使うというエピソードが『サターン・デッドヒート』にあります。

    http://manuke.seesaa.net/article/4115329.html

    全く別の方向性としては、人間の方を無重量に適応可能なように改造してしまうという手もありますね。『自由軌道』に登場するクァディーのように、居住環境に重力を必要としなければ、無理に遠心力を作り出す必要もなくなります。:-)

    http://manuke.seesaa.net/article/137780990.html
    2011年01月13日 01:15
  • コロニー職人

    重力を教えて頂き、ありがとうございました。重力差が0,4G位なら工夫次第で、何とかなりませんか?250階中、下から83階目位が1Gにして、ここを中心に居住区を作る。仕事場に近い階に住めばいいのでは。下の階は水耕農園や魚の養殖や汚水処理などの水関係で大部分が自動化でき、少人数で管理できると思います。上の階も職場に近い階に住み、学校は同じ階とする。慣れればコロニー内の移動を気にせず出来るようになるかもしれません。お願いが有ります。直径7KM長さ40KM外壁の厚さ1KM(250階)の総床面積と、一人当たりのスペースを100ヘイホウメートルにした場合に何人詰め込めるかおしえてください。
    2011年01月14日 22:24
  • コロニー職人

    訂正0.4Gを0.3Gに。
    あーはずかし。
    2011年01月14日 22:40
  • Manuke

    快適とは言えないでしょうけど、肉体は順応可能だと思います。ですが、問題は精神・文化面にあるのではないかと。

    一Gから〇・七Gまでの環境があるとなると、人はおそらく〇・七Gの方を好むでしょう。上層階は下層階より人気が高まり、貧富の差が階層と直結することになりかねないです。
    また、重力が変化しないよう同一階層で活動することが多くなると、階層間で人間の交流が置きにくくなることに繋がります。
    こうしたことが原因となり、コロニー内に地域格差が生じてしまうのは、好ましいこととは思えないですね。

    > 直径7KM長さ40KM外壁の厚さ1KM(250階)の総床面積と、一人当たりのスペースを100ヘイホウメートルにした場合に何人詰め込めるかおしえてください。

    えっと、単に計算上の話ですよね。
    単純に各階の面積を合計して百で割ったら、およそ十九億人と出ましたが……。
    完全に自給自足のコロニーで人間を一人養うためには、空気・水・食料その他を含めてもっと広大な面積が必要ででしょうから、あまり現実的な数字ではないような気がします。
    2011年01月15日 02:11
  • コロニー職人

    早速お答え頂きありがとうございました。おっしゃるとうり、人は楽な方に流れる傾向があります。ですから行政側が、税制、教育、マスコミ操作等で、そうならないように誘導していけばよいのでは。階層を越えたチームを作りスポーツ大会やクイズ大会で交流を促すのもいいでしょう。テラフォーミング研究会でフロンティアを作ると言う事は、ただ都市を作るだけではなく、政治、経済、時には宗教を含めた社会全体を新たに構築する事だと言ってたとおもいます。ですから例えば日本人が入植するなら、ふたつのコロニーを関西コロニー、関東コロニーに分けお互いを競わせるようにすれば、それぞれのコロニーは団結するのでは。
    人口の計算は、大きさが何KMと言われても実感がわかないので19億人も詰め込めると言った方が分かり易いかなと思ったのでかきました。ただ、あまりにも大すぎて自分の計算に自信が持てなくて計算をお願いしました。
    一人当たりの面積を100ヘーホーメートルにしたのは、テラフォーミングレポートに、それ位の面積があれば一人の人間が生きていける宇宙農法ができるような事が書かれてあったからです。残念ながら詳細はわかりません。
    しかしながら、クロレラを代表とする藻類の研究がすすめば、単位リッポウ当たりの効率が上がれば、あながち夢物語でもないかもしれません。
    2011年01月15日 23:38
  • Manuke

    うーん、そこから先は正解のない問題ですから、考え方次第ということで。
    私個人としては、地球上の世界でそれが実現できない以上、コロニーに場を移しても変わらないだろうと考えます。むしろ、人々の団結を期待するなら、不和の芽となり得るコロニー内環境の不均衡は避けるべきかな、と。

    「そもそも論」になってしまって申し訳ないのですが、私は一つのスペースコロニーに十九億人もの人間を住まわせる必要性が今一つ理解できないです。もっと少人数、一つの都市程度でいいのではないかと思うのです。
    多層構造でなければ環境の不均衡もありませんし、行政も地方自治レベルで済みますから。
    2011年01月17日 01:19
  • コロニー職人

    私も19億人を詰め込むつもりはありません。コロニーの大きさを実感するための数字です。いろんなタイプのコロニーが考案されていますが、このコロニーの利点は、1、空間利用率が高い。2、反射板が無く壁が厚いので強度が高い。3、宇宙線の防御率が高い。4、一人当たりの製造コストが安い。一基あたりの収容人員を五千万から一億人位に出来れば人口増加による、環境悪化、エネルギー不足、食料不足等を緩和できるかもしれません。問題点は、やはり重力の不均衡でしょうか。これを致命的と見るか、知恵と根性で乗り越えられる障害と見るかは、意見の分かれる所でしょう。もしかすると何十年後かには、中国かインドが、このタイプのコロニーを造っているかもしれませんね。
    ところで、コロニー内の気象について、意見を聞かせてください。大空間の地表から蒸発した水分は、中心部に移動すると思うのですが、この場合中心部には蛍光灯の親分みたいなのがあるわけで、地上のように雨は降るのでしょうか。
    2011年01月18日 22:23
  • Manuke

    スペースコロニーは人口爆発への対策にはならないですよ。
    現時点での世界人口の増加率は一パーセント強で、およそ一億人/年の増加です。仮に一億人収容可能なコロニー建造を今すぐ始めたとしても、最低でも毎年一基のペースで作らないと人口増加に追いつきません。
    更に、よく言われることですが人員輸送の問題もあります。ロケットでは到底運びきれませんから。
    人口問題は、私達が自ら、この地上で解決しなければならないことです。

    スペースコロニーはむしろ、宇宙進出への足がかりと捉えるべきでしょう。
    繰り返しになってしまいますが、個人的には空間利用率や収容人数はさほど重要とは思いません。

    > ところで、コロニー内の気象について、意見を聞かせてください。

    えーと、そうした高度な問題は、私のような素人より、専門の方にお聞きした方が良いのではないかと……(^^;)
    例えば、本文でお名前を挙げさせていただいた福江純氏が、物理学的な見地から「島3号型コロニー内でも雨は落下する(但し若干斜めに)」と考察されています。しかしながら、福江氏は気象学の専門ではありませんから、実際に雨が降るかどうかまでは分からないようです。
    (『スペースコロニーの世界』より)
    まして、コロニー職人さんのおっしゃる「中心部には蛍光灯の親分みたいなのがある」タイプのものはメジャーとは言えませんから、即答できる方はいないのではないかと。
    2011年01月20日 00:58
  • コロニー職人

    現実問題として、コロニー建設には超えなければならないハードル(月基地、軌道エレベーター、その他いっぱい)があり、出来たとしても数十年の歳月を要するでしょう。今の所人口爆発に対しては無力です。しかし、運よくそれを乗り越え、宇宙へ進出する時には、足がかり以上の役割を果たすと私は、思っています。太陽系内の資源開発の前線基地として、各所に作られたコロニーがコロニーを生み、いつの日にか地上よりも宇宙の方の人口が多くなる日がくるかもしれません。また他の太陽系に進出する時も、地球型の惑星がなくても殖民ができます。地球型の惑星が、あったとしてもコロニーがあれば原住民を虐殺して土地を奪わなくてすむのでは。
    教えて頂いた福江氏やその他のサイトで見聞をひろげてきます、パソコン初心者の拙い文章での質問に答えて頂きありがとうございました。
    2011年01月21日 22:33
  • Manuke

    そうですね。宇宙進出後には様々な形で運用されていくのかもしれません。
    『宇宙のランデヴー』のラーマのように、恒星間宇宙船として建造することもありそうです。
    2011年01月22日 00:31

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