スカイラーク対デュケーヌ

[題名]:スカイラーク対デュケーヌ
[作者]:E・E・スミス


※このレビューには前巻までのネタバレがあります。ご注意ください。

 本書は〈スカイラーク・シリーズ〉の第四巻にして最終巻です。
 トリを飾るのは本シリーズで最も重要な人物、マーク・C・デュケーヌ博士。そう、いよいよデュケーヌ様に主役の座が回ってきます。
 今までのお話はシートン一行の冒険譚という側面が強く、スケールは大きくても場面としてはシートン側からの卑近な視点が主となっていました(そこが魅力でもありますけど)。本作では少し趣きが異なり、物語は複数の個人/グループから多面的に描かれます。これは『スカイラーク対デュケーヌ』が〈レンズマン・シリーズ〉後に書かれたことも影響しているのかもしれません。シートン達のウェイトは減少しますが、その分デュケーヌ様の活躍が見られますので問題ありませんね(^^;)
 ラーディ族とジェルミ人、四次元転移装置、フェナクローン残党、惑星レイ=シー=ニー、そして最大の敵クローラ族。お話はいくつかの軸が絡み合いながら進んでいき、終盤のロー計画へと収束します。銀河文明同士の殲滅戦とも言える超極大スケールのロー計画は、「荒唐無稽もここに極まれり」と言っても過言ではないでしょう(笑)
 もちろん、シートンとデュケーヌの対比も見逃せません。表のヒーローであるシートンと、裏のヒーローたるデュケーヌ。格好いいのはどちらでしょうか。(当然、私はデュケーヌ派(^^;))

 物語はまず、シートン家の情景から始まります。一子を儲けて平和に暮らしているシートン夫妻ですが、そこへノルラミン人達が投影像でやってきます。前巻ではデュケーヌを純粋知性体へ仲間入りさせ、彼らごと宇宙の彼方へ追放したのですけど、その判断が誤りだったと言うのです。ほどなく帰還するであろうデュケーヌに対抗するため、シートン達は特殊な第六次フォースで全宇宙に助けを求めます。
 一方、牢獄から解放された純粋知性体達ですが、今なおシートンへの復讐心を捨てないデュケーヌに対し、解放精神の資格なしと判断を下します。デュケーヌを再肉体化した後、純粋知性体はいずこかへと去っていきました。
 地球へ舞い戻ってシートンに復讐しようと考えていたデュケーヌは、その途中でラーディ族と遭遇します。異常なまでに論理的なラーディ族は人類全てを愚かな種族と軽蔑しており、宇宙から根絶やしにする必要があると考えていました。さすがのデュケーヌもこれは問題だと考え、あろうことかシートンその人に対して連絡を取ることにしたのです。
 お話はさらに、ラーディ族に支配を受けている人類型種族ジェルミ人、クローラ族(前巻で出てきたアメーバの親玉)に支配されたDW=427=LU銀河系、そしてそこに属する惑星レイ=シー=ニーと、複数の要素が絡んできます。果たして、シートンとデュケーヌの確執はどういった結末を迎えることになるのでしょうか。

 本書の注目ガジェットは、ヴァレロンのスカイラーク号(改)です。ヴァレロンのスカイラーク号は物語中盤、クローラ族の猛攻によって大ダメージを受けてしまいます。リベンジのために改修されたヴァレロン号は、直径なんと一万キロメートル! 地球の直径が約一万三千キロメートルですから、それより一回り小さいぐらいです(^^;)
 ここまで大きいと、もはや太陽系に侵入することすらおぼつかないでしょうね。下手をすると惑星の運行に影響を与えかねません(笑)
 では、シリーズの締めくくりとして各スカイラーク号のスペックを列記してみましょう。

・スカイラーク号
 形状:直径十二メートル、球形
 材質:鋼鉄
 動力:銅
 武装:X爆薬

・スカイラーク2号
 形状:直径十二メートル、球形
 材質:アレナック(後にイノソン)
 動力:銅(後にウラン)
 武装:X爆薬(後に第四次光線を追加)

・スカイラーク3号
 形状:全長三キロメートル・直径四百五十メートル、円筒形?
 材質:イノソン
 動力:ウラン
 武装:第五次光線

・ヴァレロンのスカイラーク号
 形状:直径千キロメートル、球形
 材質:イノソン
 動力:宇宙放射能
 武装:第六次光線

・ヴァレロンのスカイラーク号(改)
 形状:直径一万キロメートル、球形
 材質:イノソン
 動力:宇宙放射能
 武装:第六次光線(後に四次元転移装置を追加)

 スカイラーク2号は基本的に初代機がベースで、その後も改良が加えられているようです。また、ヴァレロン号は十倍のサイズへと拡大され(もはや原型をとどめていないように感じますが(^^;))、物語の最後までシートンの主力機です。
 不遇なのは3号ですね。この機体は純粋知性体によって完膚なきまでに破壊され、ガス状になってしまいます。個人的には最もお気に入りのスカイラークなのですけど……。

 なお、今までクレインの召使いだったシロー君が、今回は奥さんのロータス・ブロッサム(蓮花)とともにスカイラークの正式なメンバーとなります。もっとも、本書の見所はやはりデュケーヌ様でしょう。デュケーヌの恋人ステファニ・ド・マリニーも登場しますし。
 スペースオペラの大家E・E・スミス氏は、本書を書き上げられた直後に亡くなられました。ドク・スミスは『宇宙のスカイラーク』でデビューし、『スカイラーク対デュケーヌ』の完成をもって世を去られたのです。〈スカイラーク・シリーズ〉は氏の原点と言えるのではないでしょうか。

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