超光速

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 無限に広がる大宇宙――というのは少々使い古された形容ですが(^^;)、実際宇宙はとても広いものです。惑星間の移動ですら今の技術では何年もかかってしまうほどですし、恒星間は気の遠くなるような距離です。いわんや銀河間ときたら……。
 もっとも、空想の翼を羽ばたかせる限りにおいてはその距離は足枷とはなりません。むしろ宇宙を描くSF作品では、そのスケールこそが何よりの魅力でしょう。しかしながら、その前に立ちはだかる障害が一つあるのです。そう、光速度限界という物理法則が。

 ご存じの通り、光速度は私達の宇宙の最高速度であり、物質であれ情報であれこの速さを超えることはできません。どう足掻いても光速度以上が出せないことは厳然たる物理的事実で、実験でも確かめられているのです。光速度違反をすると宇宙お巡りさんに切符を切られる、などというレベルじゃないわけですね(笑)
 これをなんとかしないと、宇宙SF――特にスペースオペラ――は書きづらいことになります。ヒーローが悪いBEMをやっつけて帰ってきたら、ヒロインはとっくに亡くなっていて彼女の子孫が彼を出迎えた、と言うのでは寂しいですし。(その手のお話も結構あったりしますが)
 そこで、SF作家の方々はしばしば、作中で光速度を超える手段を「発明」する必要に駆られるわけです。もちろん、本当に可能である必要はありません。あくまでお約束のためということで(^^;)
 それがいわゆる超光速です。英語の Faster Than Light の頭文字を取ってFTLと言われることもあります。

 最もポピュラーな超光速手段は、やはりワープ航法でしょう。リープ航法とかジャンプ航法と呼ばれたりもします。空間を歪ませてショートカットを作り、目的地まで一気に移動してしまうという類のものを指しますね。可能かどうかはともかく、一応は物理法則に反していない……かも?(笑)
 ワープ航法の傍系として、ゲートというガジェットもあります。恒星間を繋ぐ『門』を設置しておいて、それを潜ると一瞬に遠距離へ移動できるわけです。こちらはワープとは違い、ゲート自体は移動しません。惑星上にあったり、あるいは宇宙に置かれていて宇宙船ごと通り抜けたりします。
 それから、亜空間航法も時々使われるようです。私達の知る宇宙とは異なる亜空間へと入り、現地の近くまで移動してから通常空間に戻ってくるというものです。大概、亜空間は光速度限界がない、もしくは上限が異なるようですね。亜空間とは一体何なのか、おそらく作者さんもご存じないでしょうけど(^^;)
 また、物理法則を歪めてしまうような大胆な手法もあります。無慣性航法はその一つですね。無慣性航法はその名の通り、物質の慣性をなくしてしまうわけです。慣性がなければ光速度限界にも縛られない――かどうかは知りません(笑)

 事ほど左様に、超光速を得る手段はたくさんあります。SF作家さんは他人のアイディアを借りることを良しとしないことが多く、結果として無数の超光速航法が「発明」されてきました。
 当然ながら、それらは全て大嘘です。現実には光の速度を超える手段は見つかっていないのですから。全てはあくまで空想上の話なのです。
 けれども、SFというものはホラ話としての側面を持っています。いかに作者がスケールの大きなホラを吹いてくれるか、それがSFファンにとっての楽しみでもあります――業が深いですね(^^;)

この記事へのコメント

  • Longhorn

    一番「ナンダカナァ」と思ったのは「終わりなき戦い」のワームホール航法です。
    スターゲートを使った航法……のはずなんですが、ゲートを通り抜けるのに亜光速を出さなくてはならない!
    当然、敵の星に向かう人々はウラシマ効果でどんどん「過去から来た人」になって行くという……かなりキてますね。
    実は、結局これがテーマの裏打ちになっているのですが、初読ではかなり面食らいました。
    2005年07月28日 21:01
  • Manuke

    私がお気に入りなのは、『スタータイド・ライジング』の空間トンネル航法ですね~。この作品にはいくつかの超光速移動手段が出てきますが、中でもこれが一番です。
    強大な超能力を持ち、ありとあらゆるものを憎悪するエピシアークという種族を使って、彼等に空間そのものを否定させるのです。すると、否定された空間は物理法則がねじ曲げられ、穴が空いてしまいます。そこをくぐり抜けるわけです。
    この世界では最も素早い移動手段であり、同時に非常に不確実なものです。失敗して宇宙船ごと消滅してしまうこともしばしばのようですし(^^;)
    2005年07月30日 00:47
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