タイムパラドックス

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 タイムパラドックスとは、タイムマシンその他の手段で過去に移動することができたとき、それによって生ずる矛盾のことです。時間旅行を扱うSFでは良く取り上げられるガジェットの一つですね。
 一例を挙げると、祖父殺しのパラドックスというものがあります。仮に私がタイムマシンで過去へ行き、若き日の祖父を殺してしまったとしましょう(いや、別に私は祖父に恨みはありませんけど(^^;))。祖父が死んでしまったのですから、その孫の私も当然生まれてくることはありません。従って祖父の前に未来からの私が現れることはなく、祖父は生きながらえるわけです。となれば、やっぱり私は生まれ、祖父を殺しに行くことができてしまう――と、「???」な矛盾が生じてしまいます。
 SFの中では、このタイムパラドックスを解消する様々な解釈が行われます。パラドックスをどう扱うかが時間SFの大きな醍醐味と言ってもいいでしょう。それらパラドックスの解決方法は、大別すると次の二つに分類されます。

 一つは、「過去を変えることはできない」というもの。これなら当然、矛盾は起きませんね。
 例えば祖父殺しのパラドックスの場合、私が殺したと思った相手は祖父ではなく、祖父の兄だった、というオチが付いたりします。「ああ、そう言えば大伯父さんって若くして誰かに殺されたんだっけ」などと後から思い出したりすると、よりGOODです(^^;)
 こちらを取るSFではしばしば、時間旅行そのものよりも過去の情景に力を入れるタイプが見られますね。また、どのように時間旅行者の意図が妨害されるのかを楽しむお話もあります。

 もう一方は無論、「過去を変えることができる」というものです。こちらは、どう変わるかということでかなりのバリエーションがあります。
 祖父殺しのパラドックスで言うと、私が祖父を殺した後未来へ戻ったところ、そこは私が出発した未来とは異なる世界だった、などとなったりします。時間軸が祖父殺しによって分岐してしまったというわけです。
 この種類のSFで良く登場するのが、過去の改変を目論む時間犯罪者と、それを阻止しようとするタイムパトロールの存在です。また、未来に影響を与えない範囲なら改変してもOKということで、いかに影響を小さくするか苦心するという辺りも見所です。
 ダイナミックなだけあって、時間旅行そのものが物語のメインガジェットとなることが多いようですね。

 長らくSFの中だけのものだったタイムパラドックスなのですが、タイムマシンが現実味を帯びてきたことにより、こちらにも科学のメスが入れられることになりました。(実際にはまだタイムマシンが存在しないので、あくまで思考上のことですが)
 祖父殺しのパラドックスはビリヤードの玉を使って簡略化され、その分析が行われています。ビリヤードの玉を突いてタイムマシンに転がし込み、出てきた玉がタイムマシンに入る直前の自分自身に激突するよう調整します。ぶつかって元の玉の進路が逸れればタイムマシンには入らず、従って自分の進路も妨害されない――と、これで祖父殺しのパラドックスと同じ状況が生まれました。
 この問題にはどうやら、大きく分けて二グループの解が存在するようです。一つは「ソフトタッチ」と呼ばれるもので、タイムマシンから出てきた未来の玉が激突コースからわずかに逸れていたため、元の玉は少しだけ向きを変えながらタイムマシンへ飛び込み、その結果激突コースからわずかに逸れてしまうというものです。なんだか騙されたような感じがしますが(笑)
 もう一方はもっと驚くべきもので、タイムマシンの入り口を潜ろうとした玉を突如第二の玉が出口から飛び足してきて妨害します。そして第二の玉はその反動で入り口を潜って過去へ移動し、また第一の玉を妨害するのです。つまり、第二の玉は同じ時間をぐるぐる繰り返しているわけです。ペテンどころか詭弁に聞こえるかもしれません(笑)
 SFファンであればご存じでしょうが、これは時間SFで時たま出てくる『存在の環』そのものですね。最も空想的なはずの時間SFで、およそありそうにないと思われていたガジェットが科学によって肯定される――果たして、SFファンにとって喜ばしい結果なのでしょうか。それとも悲しむべきことなのでしょうか(^^;)

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