遊民の惑星ライカン

[題名]:遊民の惑星ライカン
[作者]:E・C・タブ


 〈デュマレスト・サーガ〉第二十九巻です。
 少女メロームの特殊能力で地球の在処を突き止めることに失敗したデュマレストは、新たな手がかりを得ようと旅だったところ、またしてもトラブルに巻き込まれてしまいます(^^;)
 そして、執拗に彼を追い続けるサイバー・アヴロ。その執念の果てに、惑星ライカンの上で二度目の対決が行われることになるのです。

 チェン・ウェイ・サーカスのオーナー、シャキラから、惑星ライカンに地球探索を手助けしてくれる者がいると知らされたデュマレスト。しかし、そこへ向かおうと彼が乗った宇宙船ソーン号で、同室となった無鉄砲な青年アンガード・ノサックに、突然伝染病のような症状が現れました。ソーン号の船長は感染が広がるのを恐れ、二人を無人惑星ヴェロアの原野に置き去りにしてしまいます。
 かろうじて回復したアンガードは、ライカン出身の旧家のお坊ちゃんでした。デュマレストは彼を足手まといに思いつつも、猛獣のはびこる原野を抜け、ジェネレータの不調でたまたまヴェロアに立ち寄った宇宙船ギリア号のところへ辿り着きます。そして、ジェネレータの修理技術を有していたアンガードの腕と引き替えに、惑星ユアンカまで乗せてもらえることになりました。
 一方、デュマレストを追いかけるサイバー・アヴロは、惑星バーツへと辿り着き、そこでデュマレストが死んだことを知らされます。けれども、それが偽装だとアヴロは見抜き、デュマレストがソーン号に乗ったことを突き止めて後を追います。
 しかしながら、アヴロにはタイムリミットがありました。彼の脳の中で、ホモコン素子が肥大化を続けていたのです。そらが頭蓋を圧迫して狂気に至らしめる前に、脳を摘出してもらい中央知性体に合流することだけが彼が生き延びる道でした。アヴロの執念は、惑星ヴェロアで一旦途切れた足跡を超え、彼をライカンへと導きます。そして――

 後半の惑星ライカンにて、デュマレストと親しくなる女性ウィン・テュースンが登場しますけれど、実は本巻のメインヒロイン枠は彼女ではありません(^^;) デュマレスト側には気はなかったようですが、今までとは若干異なる趣向ですね。
 また、アヴロ君はサイバーでありながら、没個性な他のサイバーとは異なる性格を持ち始めています。惑星ヘヴンで鳥人の肉体の中に精神が閉じ込められたこと、中央知性体のトラブルを認識していること、そしてホモコン素子の膨張という身の危険が迫っていることが重なり、自分自身というものを持ち始めているような点が興味深いです。

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック