女帝の惑星ジュールダン

[題名]:女帝の惑星ジュールダン
[作者]:E・C・タブ


 〈デュマレスト・サーガ〉の一エピソードです。
 日本語版では二十五巻になりますが、英語版では本来二十六巻に相当します。
 本書は実質的に『天翔ける惑星ザブル』と繋がったお話で、前半はザブルの上で物語が進行します。また、作中で「ある出来事」が起こり、それが次巻『鳥人の惑星ヘヴン』へと続きます。〈デュマレスト・サーガ〉も終盤に差し掛かり、ストーリーが単発ではなくなってきているわけですね。

 トリックを使い、ザブルへやってきたサイバー・リームを倒したデュマレスト。しかし、危機はまだ終わってはいませんでした。
 地球へと至る〈変革の時〉を待ち焦がれるテリディーの若者達の中には、デュマレストを英雄視する者が大勢いました。ザブルの旧体制を刷新するためデュマレストに協力した警護官ヴォロージャは、自らが新生委員会の委員長の座に就いた後、彼の影響力の大きさを危惧します。
 一方、デュマレストを追うサイクランも危機感を募らせています。サイクランの中枢たる中央知性体に属する脳の異常が止まらず、アッセリウス(『秘薬の惑星エリシウス』参照)では生身のサイバーが発狂する事態に陥っていたからです。何としても精神共生体を手に入れんと、再びザブルへ船を派遣します。
 ザブルには地球への手がかりが残されていると考えたデュマレストは、ヴォロージャを脅迫し、休眠容器で眠っていた記録保管所の元監理員シャイロ・グールヴィッチと面会します。老人から数遊びのような謎めいた歌を聞き出すものの、それが意味するところは不明でした。
 サイクランの手先の宇宙船がザブルを再び訪れたとき、デュマレストはその宇宙船モイラ号に乗り込み、操縦士イザンヌを味方に引き入れました。宇宙船は指揮官不在のままザブルを去ります。
 そのモイラ号は航行途中で救難信号を受信し、遭難船ガリア号を発見します。ガリア号は処理係が狂ってジェネレーターを破壊したために立ち往生しており、船には惑星ジュールダンの女族長スー・ポスタらが乗っていました。
 傲慢なスー・ポスタは自分達をジュールダンに連れて行くよう命じ、モイラ号は報酬と引き換えにその要請を受けることにするのですが……。

 さて、本書で宇宙船モイラ号改めルチータ号を手に入れたことで、デュマレストは一時的に自由貿易業者に転ずることになります(後に、行方をくらますため、更にエールス号に改名)。ザブル脱出時のいざこざで船長がいないため、デュマレストはその代役として遭難船ガリア号の船長アンドレ・バトランを迎え入れることにします。
 ルチータ号はかなりのボロ船で、乗組員はだましだまし飛ばすのに苦労します。せっかく無料で船を手に入れても、デュマレストの旅はちっとも楽にならないようです(笑)
 なお、デュマレスト君の宇宙船船主という立場は次巻へと引き継がれます。つまり、日本語版の巻順で〈デュマレスト・サーガ〉を読んだ場合、二十五巻『ジュールダン』で船主、二十六巻『サカウィーナ』で単独行動、また二十七巻『ヘヴン』で船主、というわけのわからない状況になってしまいます(^^;) 『サカウィーナ』は本来二十四巻ですので、『ザブル』の前に読むことをお勧めします。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/439379428

この記事へのトラックバック