異形の惑星クルディップ

[題名]:異形の惑星クルディップ
[作者]:E・C・タブ


 〈デュマレスト・サーガ〉第二十三巻です。
 本巻では引き続き、地球の在り処を突き止めたとされる地質学者ルディ・ブーレイの足跡をデュマレストが追いかけることになります。
 一方、サイクラン側ではついに、中央知性体の異常が組織を揺るがす事態へと発展していたのです。

 エリシウスで命を落とした元大学教授ルディ・ブーレイ(『秘薬の惑星エリシウス』参照)が手がかりを残していないか、デュマレストは彼の元勤務先の大学惑星アッセリウスへ渡ることにしました。
 途中、惑星ポデスタの宇宙港で、人為的に作られた獣が檻から逃げ出したところに出くわしたデュマレストは、少女を救ったものの傷を負わされてしまいます。獣の所有者であるチテーム研究所のシャリス・チテームは、デュマレストに興味を持ち、彼を治療した後にアッセリウスへ送り届けました。
 アッセリウスに辿り着いたデュマレストは、ルディと親しい仲だったマイラ・フェイヴァーに接近します。ルディは地球探しに失敗したものと周囲には思われていましたが、彼が秘密裏に宇宙旅行を行っていたことをデュマレストは突き止めます。
 そうした矢先、酒に酔ったマイラが窓から転落死してしまい、デュマレストは殺人の疑いをかけられることになります。救いの手を差し伸べたのは、シャリスでした。デュマレストはシャリスに連れられ、チテーム研究所のある惑星クルディップへと逃れます。
 そこでは、生物を異形の怪物へ改造する、悪夢のような研究が行われ、かつルディとも関わりのある場所だったのです。

 サイクランを構成するサイバーは、感情を除去し理性のみを信奉しています。しばしばロボットなどとも呼ばれるほどに没個性です。
 しかしながら、本書に登場するサイバー・オーコスは、そのサイバーの中でも異質の存在です。オーコスは中央知性体の狂気に冒され、サイバーらしからぬ権力欲に取り憑かれています。とは言え、行動そのものは変わらずサイクラン至上主義なので、行動と結果は他のサイバーとさして変わらないのですけれど(笑)
 一方、シャリスは本巻のヒロインに相当します。しかし、デュマレストのこめかみに円筒を埋め込んだり、自分が作り出した生物と戦うことを強いたりと、かなり敵対的な女性で、かつシャリス自身が身体的な問題を抱える複雑なキャラクタです。
 敵対者は女性でもあまり容赦しないデュマレストですが(^^;)、シャリスに大しては比較的寛容で、これは命を救われたことによるもののようです。経緯はどうあれ恩に報いる、デュマレストの義理堅さが表れていると言えるでしょう。

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