秘薬の惑星エリシウス

[題名]:秘薬の惑星エリシウス
[作者]:E・C・タブ


 〈デュマレスト・サーガ〉第二十二巻です。
 デュマレストは今回、地球の情報を得るために鉱山の採鉱を行うことになります。鉱夫として働く場面はこれまでもありましたが、今回は指示する側ですね。
 そして、宿敵であるサイクラン側にも動きがあります。中央知性体の狂った脳を活用することで、ある目的を達成しようと考えたのです。

 地球の在り処を求めて星々をさすらうデュマレストに、一人の男が接近してきました。男の名はハンス・ザルマン、テレパシーではないものの、他人の仕草や筋肉の動きから相手の心を読む能力を持っていました。
 ザルマンは、サイクランの求める秘密をデュマレストが持っていることを知っており、情報を売って利益を得ることを持ちかけてきました。そして、その対価としてザルマンが提示したのが、地球の在り処を知る男の情報でした。
 その男に会うために、惑星エリシウスへと渡った二人。そこではカゲロウ型昆虫から取れる栄養に富んだ物質・マナが普及しており、それを摂取すると多幸感が得られる反面、代償として子供のように判断力を失ってしまいます。デュマレストが世話になった鉱山所有者の女性イソベル・ブーレイは、そのせいで一向に採掘が進まないことを嘆いていました。
 残念なことに、デュマレストが求める情報を持つ男こそ、落盤事故で命を落としたイソベルの夫ルディだったのです。彼が首に下げていたメダルに地球の情報が記されているかもしれないという点にデュマレストは一縷の望みを賭け、イソベルの鉱山試掘に協力することになります。
 一方サイクラン本部では、惑星ハージでデュマレストを失った責任を問われ、首席サイバー・ネクァルが失脚していました。サイバーの失敗は、中央知性体と結合される権利を失うことを意味していましたが、ネクァルは次期首席エルジに対し、ある提案をします。それは、中央知性体の一部の狂った脳髄に自分の脳を結合し、そこから何らかの情報を引き出せないか試みるというものでした。その実験が行われた結果……。

 本作のゲストキャラクタであるザルマンは、他人の心が読める男です。テレパシーのような超能力ではなく、あくまで相手の所作からその内心を理解するという技能で、その精度は高いものの本人が意識していないことまでは読み取れないようです。
 ザルマンは、心を読んだ内容をつい口に出してしまう癖があり、そのせいで他人から疎まれたりすることが多かった模様です。少々迂闊ながら、どこか憎めないところのある登場人物ですね。

 さて、『砂漠の惑星ハージ』末尾にてデュマレストを見失ったサイクランですが、サイバー・ネクァルの試みによりデュマレストが生きていることを再発見します。これにより、またもやサイクランの魔の手が彼に襲いかかることになるのです。命懸けでサイバーを撒いたデュマレストの努力も、残念ながら二巻分しか続かなかったようです(^^;)

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