砂漠の惑星ハージ

[題名]:砂漠の惑星ハージ
[作者]:E・C・タブ


 〈デュマレスト・サーガ〉の一エピソードです。
 『刺客の惑星ヒアカーヌ』のレビューで述べたように、本書『砂漠の惑星ハージ』は原作では第二十巻ですが日本語版では第十九巻という入れ替わりがあります。
 サイクランの罠により、惑星ハージへと立ち寄る羽目に陥ったデュマレスト。脱出する資金を稼ぐために、彼はある危険な賭けに出ることになります。

 デュマレストの乗る宇宙船ウルシャ号は、本来なら惑星フェンドリスへ向かうはずでした。けれども船長のフロムは、乗客に無断で行先を惑星ハージへ変更してしまいます。フロム船長は、ワープ(空間のゆがみ?)に衝突したせいでやむなくハージに寄港することになったのだと説明しましたが、デュマレストはサイクランの魔手が裏に潜んでいることを推測します。しかしながら、抗議もむなしく乗客達はハージで下船せざるを得ませんでした。
 ハージは過度な高金利のせいで経済が停滞し、よそ者が金を稼ぐ手段のほとんどない惑星でした。その上、都市の周囲には巻き込まれた人間を骨にしてしまう危険な砂あらしが吹き荒れ、岩山地帯には怪物サナクが生息しているという有様です。
 デュマレストはやむを得ず闘技場へ出ることにしたのですが、対戦相手は人間ではなく、蛇の化け物サナクでした。健闘するも、デュマレストはサナクの尾に跳ね飛ばされて意識を失ってしまいます。けれども、あわやと言うところで乗客仲間の傭兵サンティスが闘技場へ乱入して彼を助け、デュマレストは一命を取り留めます。しかし、そのせいでサンティスは罪を問われることになってしまいました。
 命を救ってくれた仲間を助けるため、そして惑星ハージから逃げ出すため、デュマレストは一攫千金を狙うことにします。それは、岩山にあるサナクの棲息地へ赴き、貴重な石トラナクを持ち帰るという、極めて危険な賭けでした。

 本書の注目ガジェットは、サナクとトラナクです。
 サナクは蛇のような姿をしていますが、体長は大きいものになると十メートルを超え、鱗に覆われた体は節に分かれています。恐ろしげな姿ですけれど、本来の主食は生き物ではなく結晶性鉱物です。
 惑星ハージが砂漠化したのはどうやらサナクのせいらしく、デュマレストはいずれハージ惑星表面が砂だらけになり、サナクは地下に潜ってしまうのだろうと推測しています。
 トラナクはサナクの排泄物に含まれる真球の石で、硬くてなめらかなためベアリングとして機能するほか、あらゆるエネルギー(光・音・振動)を光線化するという特性を持ち、高値で取引されています。光線化はともかくとして、ベアリングとして使われるためには直径が同じでないと駄目そうに思いますけど、自然に産出するもののサイズがそう揃っているものなのかは謎です(^^;)
 砂漠の惑星、猛烈な砂嵐、巨大な長虫とそれが排出する貴重な材料――と来ると、某『デューン』を連想してしまいますが、本作はそこまで大がかりな舞台ではありません。ただ、遥か未来には砂漠に生きる民が誕生するのかもしれませんね。:-)

 さて、少々ネタバレになってしまいますが、本書末尾でサイバー・トシャはデュマレストが死亡したものと推定し、サイクランが精神共生体の入手を一旦諦めるという展開があります。このため本書の次に『ヒアカーヌ』を読むと、デュマレストが死んだと思っているにも拘らずサイクランが刺客を差し向けるという矛盾が生じてしまいます。
 内容のつながり上、『ヒアカーヌ』を先に読むことをお勧めします。

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