刺客の惑星ヒアカーヌ

[題名]:刺客の惑星ヒアカーヌ
[作者]:E・C・タブ


 〈デュマレスト・サーガ〉の一エピソードです。
 さて、本書『刺客の惑星ヒアカーヌ』及び続巻『砂漠の惑星ハージ』ですが、やや注意を要する点があります。『ヒアカーヌ』は原作では第十九巻、『ハージ』は第二十巻として執筆されていますけど、日本語版では逆順なのです。(翻訳のスケジュール上の都合で順番が入れ替わってしまった模様)
 ということで、本レビューでは『ヒアカーヌ』→『ハージ』の順に紹介させていただきます。

 サイクランはデュマレストの所持する精神共生体を欲していました。けれども、一向に捕まる気配のないデュマレストに対し、彼等は危機感を募らせます。
 この問題に対し、サイバー・ヨウカはサイクラン外の手を借りることにしました。レオ・ボクナーは一見すると華奢で頼りない容姿をしているものの、実際は腕っこきのハンターであり、人間狩を心の底から楽しんでいる危険な男でした。サイクランは若手サイバー・キャラドクをボクナーに同行させ、デュマレストのいると覚しき大間隙(リフト)宙域へと向かわせます。
 一方、そうとは知らぬデュマレストは、惑星イーリアスを脱出する際に宇宙船エンティル号の乗員となることを選びます。そして、エンティル号が宇宙を移動する最中、立ち寄った惑星でボクナーは乗客として乗り込んできたのです。
 何食わぬ顔で旅客として振る舞いつつも、デュマレストを捕らえる機会を伺うボクナー。しかしここで、思いもよらぬ事態が発生します。デュマレストに恋人を取られたことで嫉妬に狂った航宙士ジュモクが、宇宙船の発電機を壊して自殺してしまったのです。
 やむを得ず、エンティル号は惑星ヒアカーヌへ不時着しました。そこは恐るべき生き物が跋扈する野蛮な惑星で、ボクナーはデュマレストの捕縛を一旦棚上げにした上で、他の生き残った者達と共に人里を目指すのですが……。

 本書では、デュマレストとボクナーの対比が面白いですね。ボクナーは優れたハンターで、サバイバル能力でもデュマレストに劣らない男ですが、他者に対し冷酷で、かつプライドが高すぎる部分があります。生き残るための旅の中で、二人のスタンスの違いが明確になります。
 一方で、サイバー・キャラドクはどうにもパッとしません(笑) 有望な若手のはずが、経験不足による失態を露呈することになります。彼に限らず、サイクランという組織は自分達が考えるほど人間(及びサイバー自身)というものを理解していないように思われます。:-)

 冒頭で述べた通り、日本語翻訳版において、本巻は次巻と順番が入れ替わっています。
 〈デュマレスト・サーガ〉は大抵一話完結の形を取っているため、多少入れ替わっても問題ない場合が多いのですが(^^;)、『ヒアカーヌ』と『ハージ』の場合は事情が異なります。『ハージ』の最後で次巻に影響する出来事があり、これが『ヒアカーヌ』ではなく第二十一巻『空想惑星エスリン』以降へ繋がることから、『ハージ』→『ヒアカーヌ』→『エスリン』の順番で読むと混乱を招くことになるわけです。(同じような入れ替わりはシリーズ中にもう一ヶ所あります)
 従って、実際に読まれる際にも、日本語版の巻数は無視し『ヒアカーヌ』→『ハージ』の順序がお勧めです。

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