科学惑星テクノス

[題名]:科学惑星テクノス
[作者]:E・C・タブ


 〈デュマレスト・サーガ〉第七巻です。
 本シリーズに登場する惑星世界の多くは中世的な君主制・封建制であり、多くは法すら機能していない野蛮な社会です。しかし、本書の舞台となるテクノスは現代的(未来の話なのに「現代的」と言うのも変ですが(笑))な惑星で、珍しく社会制度が整っている世界です。但し、その内情はディストピアなのですが。
 地球の手がかりを得るため、惑星テクノスへの潜入を果たしたデュマレスト。けれども、そこはいびつな管理社会だったのです。

 とある惑星クロヴィスで、友人カール・リメインの死を看取ることになったアール・デュマレスト。彼はリメインの遺言を兄クェンディスに届けることを約束します――隣人の農場主デルメイヤーが昔の遺物を収集しているという手がかりと引き替えに。
 リメインの故郷ロームは農業惑星だったのですが、急速に繁茂する有害な蔓植物トゲカズラのせいで農場は壊滅しかけていました。リメインはトゲカズラの退治方法を探すために宇宙へ出たのであり、彼がデュマレストに託した遺言は、その情報がどこにも見つからなかったというものでした。
 トゲカズラは近隣の独裁惑星国家テクノスによる生物テロであり、惑星ロームは今ではテクノスの脅しに屈して毎年数千人の若者を貢ぎ物として差し出す羽目に陥っていました。デルメイヤーは農場の壊滅を苦にして自殺しており、その情報を知るかもしれない娘エレインも既にテクノスへと召し抱えられていたのです。
 クェンディスの息子クレオンもまた徴集されそうになっていることを知ったデュマレストは、自らが身代わりとなってテクノスへ赴くことを提案しました。テクノスへ行けば、エレインと接触して地球の情報を得られるかもしれないと考えたためです。
 かくして惑星テクノスへと潜入したデュマレストですが、クレオン・リメインでないことはたちまちバレてしまい、彼は憲兵を打ち倒して逃走を図ります。
 惑星テクノスは学力至上主義の実力社会という体を保ってはいたものの、狂気に駆られつつある総統レオン・ヴァルガス及び支配階級のせいで歪みが生じていました。これまでにない管理社会の中で、デュマレストは苦戦を強いられることになります。

 科学の発達した惑星社会ということで、本書はスリラー要素の強いお話に仕上がっています。元々、デュマレストのキャラ付けがハードボイルド主人公なこともあって、作風との相性は良好ですね。
 シリーズを通じての敵と言えるサイクランは、今回も総統ヴァルガスに取り入る形でサイバー・ルエンが登場することはするのですが、どうにも精彩を欠きます。デュマレストのテクノス潜入を察知しながら、その捕獲に対する手立てをろくに打てなかった辺り、ルエン君はあまり有能なサイバーではないのかもしれません(^^;)

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