第二ファウンデーション

[題名]:第二ファウンデーション
[作者]:アイザック・アシモフ


※このレビューには前作『ファウンデーション』及び『ファウンデーションと帝国』のネタバレがあります。ご注意ください。

 本書は〈銀河帝国興亡史〉三部作の第三巻に当たる作品です。ハリ・セルダンの設立したファウンデーションを巡る物語は、いよいよ佳境を迎えます。
 この『第二ファウンデーション』は、前巻よりもさらに推理小説的な部分が色濃いのが特徴と言えるでしょうか。物語中では、ある謎の存在の居場所を巡って探索が行われます。探索の対象となるのは、タイトル通り第二ファウンデーションです。
 心理歴史学の始祖ハリ・セルダンが仄めかした第二ファウンデーションの存在。始めはミュールによって、続いて第一ファウンデーションの者によって探索が行われます。果たして第二ファウンデーションは本当に存在するのか。もし存在するとしたら、それはどこにあるのか――。

 第一部『ミュールによる探索』は、〈銀河帝国興亡史〉のエピソードとしては例外的に、前巻の『ザ・ミュール』から五年しか経過していません。
 銀河の覇者となったミュールですが、彼は自らの築いた〈世界連邦〉が盤石であるとは考えていませんでした。何故なら先の事件において、心理学者エブリング・ミスによる第二ファウンデーションの居場所追求に失敗したからです。
 もし第二ファウンデーションが存在するとなれば、いずれ自分の権力が脅かされることになるだろうとミュールは危惧していました。そして、自らの忠実な僕となったハン・プリッチャー将軍と、転向者ではない一般人ベイル・チャニスを選び、二人に第二ファウンデーションの探索を命じます。
 第二ファウンデーションの存在自体を疑っているプリッチャーに対して、青年チャニスは自らの推理を披露し、彼等は第二ファウンデーションの在処と目される惑星へ向かうことになります。

 第二部『ファウンデーションによる探索』の舞台は、第一部より五十年ほど後の時代です。
 ミュールの没後、銀河は元の状態へと復帰しつつありました。ミュールの拠点であったカルガンは未だ強大な力を有するものの、ファウンデーションの勢力は再興し、人々は再び〈セルダン・プラン〉の力を信ずるようになってきています。
 しかし、第一ファウンデーションの一部の人々は危惧を抱いていました。謎とされる組織・第二ファウンデーションが秘密裏に第一ファウンデーションを裏から操り、歴史を支配しているという確証が彼等にはあったのです。
 お話は青年ペレアス・アンソーアが、ターミナスに暮らすダレル博士の家を訪れるところから始まります。アンソーアらは第二ファウンデーションを脅威と考え、その在処を探るべくメンバーの一人ホマー・マンをカルガンへと秘密裏に送り込もうとします。
 ところが、ダレル博士の娘にして十四歳の聡明な少女アーカディアは、彼等の為そうとしていることを察してしまいます。そしてホマーの宇宙船に密航し、カルガン旅行への同行にまんまと成功してしまうのです。

 本書の注目ガジェットは、第二ファウンデーションです。
 第二ファウンデーションの存在は第一巻『ファウンデーション』においてハリ・セルダンその人により仄めかされますが、その言及は「銀河系の反対側の端、“星界の果て(Star's End)”に建設される」とだけです。探索者はたったこれだけの情報を元に、数千万個に及ぶ居住可能惑星の中から第二ファウンデーションの所在を突き止めなければなりません(^^;)
 第一ファウンデーションが自然科学の避難所であるのに対して、この第二ファウンデーションは社会科学、それも心理歴史学の牙城であろうと推定されています。
 作中で第二ファウンデーションが〈銀河帝国興亡史〉でどのような役割を果たしているのかは、説明するとネタバレになりかねませんので、本書をお読みになって確かめてください。いずれにしても、三部作の中でも重要な意味を持つ組織です。

 本書をもって、〈銀河帝国興亡史〉三部作は幕となります。第二部『ファウンデーションによる探索』の時代はファウンデーション設立よりおよそ四百年。道半ばではありますが、ファウンデーションを巡る物語はひとまずお開きです。
 この点に関してファンからは続編を望む声が強く、本書から三十年の間を置いてアシモフ氏は〈銀河帝国興亡史〉の続きを執筆されます。こちらは本書でフォローされなかった部分や、氏の別系統のお話である〈ロボットもの〉との統合など、大いにファンを喜ばせてくれる内容です。(非常に残念なことに、物語の決着を待たずアシモフ氏は世を去られてしまいますが)
 しかしながら、『ファウンデーション』・『ファウンデーションと帝国』・『第二ファウンデーション』の三部作を一作品としてみると、その完成度は相当に高いものがあります。特に本書の末尾は鮮やかな結末で、どんでん返しと種明かしが実に爽快ですね。三部作の章はそれぞれ別個に発表された短編であり、当初から筋道立てて計画されたストーリー展開ではないそうなのですが、それがにわかには信じがたいほど見事な作品に仕上がっています。
 壮大なスケールの銀河帝国、数百年に渡る長大な歴史、そして見事な結末を読者に与えてくれる本作。SF界でも有数の名作であることは疑いありません。

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