黄金の星間連絡艇

[題名]:黄金の星間連絡艇
[作者]:A・バートラム・チャンドラー


※このレビューには前巻までのネタバレがあります。ご注意ください。

 〈銀河辺境シリーズ〉第九巻です。
 前巻『遙かなる旅人』にて、退職金代わりに連絡艇を手に入れたグライムズ君。これを使って伝書サービス業をやろうとした彼ですが、しょっぱなからまたもアクシデントに見舞われることになります。宇宙のどこへ行ってもトラブルを引き起こす体質は相変わらずのようです(^^;)

 監察宇宙軍退職後、惑星エル・ドラドのエスタン男爵家令嬢の黄金製宇宙船〈ファー・トラベラー〉に乗り、あちこちの〈失われた植民地〉を巡ったジョン・グライムズ。その旅が終わったとき、グライムズは男爵家令嬢から退職金として、〈ファー・トラベラー〉の連絡艇を譲り受けることになりました。
 星間連絡艇はかなり小型ではあるものの、〈ファー・トラベラー〉本体と同じく変成された黄金で作られているれっきとした宇宙船でした。グライムズは高価で高性能なその連絡艇を手放さず、自ら伝書サービスを始めることに決めます。そして、〈ファー・トラベラー〉のコンピュータだった〈ビッグ・シスター〉を偲び、連絡艇を〈リトル・シスター〉と名付けました。
 交通の便が悪いティラルビン星系へとやってきたグライムズは、〈士族クラブ〉で郵政局長タマラ・ヘイバーストックと知り合い、彼女から依頼を取り付けます。それは近隣のボガーティ星系へ、ティラルビン名産の〈ヴィーナス苺〉を含めた郵便物を届けるという仕事であり、かつその旅にはタマラ自身も同行するという内容です。
 旅の滑り出しは順調で、グライムズとタマラの仲も良好でした。ところが、道半ばで〈リトル・シスター〉の超光速ドライブ、マンシェン駆動系が突如として故障したのです。そして、修理に取り掛かろうとしたグライムズに無断で、タマラはカロッティ通信機で救助を求めてしまいます。
 救助要請に応え、シャアラ人の宇宙船〈バルウウム〉が〈リトル・シスター〉の近くまでやってきます。けれども、この船を率いるのは“離れ女王蜂(ローグ・クイーン)”、海賊並みにタチの悪い連中でした。
 黄金製の〈リトル・シスター〉を我が物にしようとするシャアラ人達により、グライムズとタマラは囚われ人となってしまいます。二人の運命やいかに。

 本書の注目ガジェットは、蜂型異星人・シャアラ人です。
 〈銀河辺境シリーズ〉の世界においては、地球人類が最も勢力の大きい知的生命体のようですけど、それ以外の異星人もいくつか登場します。シャアラ人はその一つで、宇宙船を有し他星系へ植民を行う文明レベルに達しています。(但し、星間駆動系は地球人から提供されるマンシェン・ドライブを使っている模様)
 シャアラ人は文字通り蜂そっくりな昆虫型種族です。人間と同スケールで、腕は四本、後脚で直立しています。背中からは羽根が生えており、空を飛ぶことができます。
 生態も蜂そのもので、卵を産むために肉体が肥大化した女王を頂点に、働き蜂や雄蜂、次代を担う王女蜂が一つの巣を形成しています。各々の個体には知性があるものの、思考はかなり本能に支配されているようです。
 シャアラ人と地球人の関係は比較的良好ですが、中には本巻のように略奪を行うグループも存在しています。また、地球のアルコール類には目がなく、アルコール依存症になってしまうシャアラ人も少なからず存在する模様です(^^;)

 グライムズとタマラはシャアラ人に捕らえられた後、惑星ダリッジャへと連行されます。ダリッジャには蒸気機関レベルの文明を持つ種族が住んでおり、二人はシャアラ人達がこの惑星を支配する道具にされかけるものの、ダリッジャ人のあるグループにより救出されることになります。
 ここからの展開はかなりユーモラスですね。神の使いとしてあがめられることとなったグライムズ君の戸惑いと苦闘が見所です。

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