宇宙クリケット大戦争

[題名]:宇宙クリケット大戦争
[作者]:ダグラス・アダムス


※このレビューには前巻までのネタバレがあります。ご注意ください。

 銀河随一の馬鹿SF小説、『銀河ヒッチハイク・ガイド』の続編第三弾です。
 相変わらずのハチャメチャ話ですが、本書では前二作とは少し趣が異なり、骨子となる基本ストーリーが存在します。このせいか少々展開はおとなしめではありますけど、間に挟まれる(何の関係も意味もなさそうな)エピソードは傑作です。読んでいるうちに思わず幾度も吹き出してしまいますので、人前で読むと大変きまりの悪い思いを味わうことでしょう(^^;)
 消滅直前の地球へと戻って来たアーサーとフォードの前に現れる謎の白いロボット達。それは惑星クリキットの恐るべき殺人ロボットだったのです。

 太古の地球へ置き去りにされたアーサーが数年ぶりにフォードと再会したとき、目の前の草原に突如チェスターフィールド・ソファが出現します。二人が逃げ回るソファを追いかけ、それに飛び乗った瞬間、彼等は時間を飛び超えてしまいます。(しょっぱなから訳の分からん展開です(笑))
 飛んでいった先は二十世紀、ロンドンにある〈ローズ・クリケット競技場〉でした。しかし、失われたはずの故郷への帰還にアーサーが感慨に浸る暇もなく、クリケット競技場にはまずスラーティバートファースト(地球を設計したマグラシア人のうちの一人)、続いて謎のロボット軍団が姿を現します。そしてロボットは人々を虐殺し始めるのでした。
 それらの殺人ロボットはクリケット競技場にあったウィケット(クリケットの競技に使われる的のようなもの?)を燃やした灰を奪いに、そしてスラーティバートファーストはそれを阻止するために地球へやってきたのです。しかし、スラーティバートファーストの思惑もむなしく、“遺灰”はロボットに奪われてしまいます。
 銀河に危機が迫っているとのスラーティバートファーストの言葉により、アーサーは訳が分からないまま(毎度のことですが(^^;))、そしてフォードは嫌々ながら、彼とともに殺人ロボットの企てを阻止する旅に出発するのでした。

 本書の注目ガジェットは、空を飛ぶ方法です。
 なにかと役立つ実用書“銀河ヒッチハイク・ガイド”によると、人が空を飛ぶには秘訣があるとのこと。その秘訣とは……本書を読んでみてください(^^;)
 あまりにもアホ過ぎる内容なのですが、何故だかものすごく同意したくなるような理屈でもあります。私が仮にどこか高い場所から落ちることがあったら、試してみようかと思います。:-)
(良い子は決して真似してはいけません) 

 この『宇宙クリケット大戦争』はどちらかと言うと、メインである惑星クリキットの話よりも周辺の小ネタが秀逸です。
 スラーティバートファーストの宇宙船〈レストラン数論〉号のエンジンや、無限引き伸ばされワウバッガー等、無駄なところで無駄に凝りまくった馬鹿設定はどれも傑作ですね。特に、我らがアーサー君がアグラジャッグという人物(?)につけられる因縁は無茶苦茶かつ気の毒です。
 また、パラノイア気味ロボットのマーヴィンも良い味を出しています。このロボット、実は相当に高性能のようですね。その能力は鬱方向へ遺憾なく発揮されてますが(笑)
 ものすごく深い真理が含まれているようでもあり、そうでもなさそうな気もする本シリーズですけど(^^;)、とにかく笑いという方向性ではSF界でも指折りの面白さと言って構わないでしょう。世界中の人々から長きにわたって愛されている作品だけのことはあります。

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