宇宙の果てのレストラン

[題名]:宇宙の果てのレストラン
[作者]:ダグラス・アダムス


※このレビューには前巻までのネタバレがあります。ご注意ください。

 本書は世界一の馬鹿SF小説、『銀河ヒッチハイク・ガイド』の続編にあたります。ダグラス・アダムス氏の軽妙かつ不条理なユーモアは留まるところを知らず、読者を混乱と抱腹絶倒のハチャメチャ世界へと導いてくれます(^^;)
 驚くべきは氏のユーモアセンスですね。みっちりとデタラメな笑いのネタが詰め込まれた密度の高い作品ですが、読み始めると最後まで止められません。中毒性の高い、もしかしたら危険な書物なのかもしれませんね(笑)
 お腹が空いたので手近なお食事処へと赴くことに決めたゼイフォード一行。しかし、宇宙船〈黄金の心〉号のコンピュータ・エディによって彼等が飛ばされた先は、宇宙の果てのレストランだったのです。

 アーサーの脳みそを欲する超知性汎次元生物の手を逃れた一行ですが、一難去ってまた一難。かつて地球を破壊したヴォゴン人の宇宙船が、彼等の乗る〈黄金の心〉号を攻撃してきます。ヴォゴン人が地球を破壊したのは、本当は超空間高速道路の建造のためなどではありませんでした。最後に残った地球人であるアーサーとトリリアンは、彼等にとって邪魔な存在だったのです。
 攻撃された〈黄金の心〉号ですが、困ったことに船載コンピュータのエディが動かなくなってしまい、にっちもさっちも行かなくなります。アーサーが「お茶を飲みたい」と言ったがために、エディはお茶の入れ方という深遠な問題を解くことにかかりっきりになっていたのでした(^^;)
 この大ピンチに臨んで、突如ゼイフォードが降霊会によって曾祖父の霊魂を呼び出し、助けを求めることを提案します。
 現れたひいお祖父さんのゼイフォード・ビーブルブロックス四世は、さんざんゼイフォードに対してお説教をかました後、両手から光を放ってエディに浴びせかけます。すると、〈黄金の心〉号は時空を飛び越え、ヴォゴン人の攻撃を逃れたのでした。
 但し、ゼイフォードと鬱ロボットのマーヴィンの二人だけは、船を離れて別の場所へと転移してしまいます。彼等が転移した先は小熊座ベータ星、銀河有数のベストセラー“銀河ヒッチハイク・ガイド”の出版社がある星だったのです。

 本書の注目ガジェットは、宇宙の果てのレストラン〈ミリウェイズ〉です。
 このレストランは、文字通り「宇宙の果て」にあります。つまり、宇宙がビッグ・クランチにより消滅する直前の時間に存在する訳です(^^;)
 客は時間旅行により〈ミリウェイズ〉を訪れ、美味しいディナーを楽しみながら宇宙が消滅するのを観覧する、という寸法です。〈ミリウェイズ〉自体は防御シールドに包まれており、宇宙が終了したらちょっとだけ時間を遡って消滅直前の時まで移動します。このため、〈ミリウェイズ〉では何度でも宇宙消滅を楽しむことができます。実に悪趣味極まりないレストランですね。
 しかもさらに悪趣味なことに、このレストランでは料理前のメインディッシュに会わせてくれます。これから料理されるウシっぽい動物自身が、自分の美味しい部分を朗らかに説明してくれるのです。「肩肉などいかがでしょう」と言った感じで。食欲が減退しそうです(^^;)

 相変わらずアーサー君は不幸な目に遭いまくりですが、彼の場合空気が読めないことによる自業自得な面も少なからずありますね。
 しかし不幸という点を見れば、マーヴィンこそが主要人物(?)中もっとも不遇なキャラクタでしょう。あまりと言えばあまりの仕打ちなのですけど、しかしこの鬱病を患ったロボット、何故か楽しそうに見えるのは気のせいでしょうか(^^;)
 展開はめちゃくちゃなのに一本筋が通っているという摩訶不思議なこの小説、読み返す程に深い含蓄が込められているような気がしてきます(笑) 本当にそうなのかどうかはさておき、お腹の皮がよじれるくらいの面白さだと太鼓判を押せる傑作お馬鹿小説です。

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ダグラス・アダムス『宇宙の果てのレストラン』
Excerpt:  常々あこがれているものの1つに、イギリス人のユーモア感覚があります。具体的には、チャーリー・チャップリン、ウィンストン・チャーチル、サミュエル・ジョンソン、<モンティ・パイソン>などなど。うまく言..
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