銀河ヒッチハイク・ガイド

[題名]:銀河ヒッチハイク・ガイド
[作者]:ダグラス・アダムス


 「パニクるな(DON'T PANIC)」と大きく読みやすい文字でカバーに書かれている“銀河ヒッチハイク・ガイド”は、銀河有数のベストセラーである超小型亜中間子的電子書籍です。宇宙中の様々な知識や知恵が詰め込まれた実用書で、これさえあれば銀河のどこへ赴いても安心です。ヒッチハイカー必携のアイテムと言えるでしょう。
 ……と言うのが、本書に登場する架空の書物の説明になります(笑)
 SF界屈指の馬鹿SF小説として名高いこの作品(^^;)、元々はイギリスBBCのラジオドラマだったものを、原案・脚本のアダムス氏がノベライズしたものとのことです。
 とにかく展開が不条理かつデタラメで、ページを繰るたびに笑いの発作に見舞われること請け合いです。しかもタチの悪いことに、読み進めていくうちハチャメチャ展開に筋が通っているような錯覚に陥ってしまいます(笑) こうなってしまったらアダムス氏の勝ちですね。
 突発事態により滅亡してしまった地球。最後に生き残った地球人アーサー・デントと、その友人で“銀河ヒッチハイク・ガイド”調査員のフォード・プリーフェクトの運命やいかに……。

 ある木曜の朝、イギリス西部に住むアーサー・デントは大変不愉快な思いをしていました。バイパスの工事のために家の立ち退きを要求されていたからです。
 担当者は、工事があることは九ヶ月前から閲覧可能になっていたのだから、文句があれば前もって申し出れば良かったのだとアーサーに告げます。しかし、その工事が行われることをアーサーが知ったのは前の日のことで、しかも計画書は地元設計課の電灯も階段もない地下室のキャビネットにしまい込まれていたのです。(ありがちですね(^^;))
 憤懣やるかたないアーサーでしたが、友人のフォード・プリーフェクトに誘われ、二人でパブへ出向いて一杯やることにしました。その間にアーサーの家は取り壊しが始まりますが、すぐにそれはどうでもよくなってしまいます。
 何となれば、突如として宇宙の彼方より黄色い宇宙船が飛来し、人類に向かってこう告げたのです。「この星系を通る超空間高速道路建造のため、地球を取り壊します」と。このことはアルファ・ケンタウリの土木建設課に五十年前から張り出されていたのだから文句を言うなというわけです。(ありがち……なんでしょうか(笑))
 そして地球はその住人もろとも破壊され、宇宙の塵と化してしまいます――アーサーとフォードの二人だけを除いて。実はフォードは地球人ではなく、“銀河ヒッチハイク・ガイド”調査員だったのです。とっさに土木工事に来たヴォゴン人の宇宙船にヒッチハイクし、彼等だけが難を逃れたのでした。
 一方、銀河の反対側では別の事件が起こっていました。銀河帝国大統領ゼイフォード・ビーブルブロックスが、新造の無限不可能性ドライブ搭載宇宙船・〈黄金の心〉号の就航式で船を乗り逃げしたのです。
 かくして最後の地球人アーサーの受難の日々は幕を開けるのでした。

 本書の注目ガジェット(?)は、宇宙でもっとも優れたコンピュータです。
 はるかな昔、超知性汎次元生物が発した問い「生命、宇宙、その他もろもろの答え(The Answer to Life, the Universe, and Everything)」に対し、宇宙で二番目に優れたコンピュータ(自称)であるディープ・ソートが七百五十万年の歳月をかけて答えを導きました。
 ところが、この究極の答えは超知性汎次元生物のお気に召しません(読者にも訳が分かりません(笑))。彼等の問い詰めに対して、ディープ・ソートは質問の問いが間違っているのだと返答します。究極の答えには、それに見合う究極の質問が必要なのだと。
 そしてディープ・ソートの助言に従い、究極の質問を考え出すためのコンピュータが建造されるのですが、それこそが……。後は読んでのお楽しみと言うことで(^^;)

 本書は展開もハチャメチャですが、登場人物もそれに負けず劣らずですね。
 気弱なアーサーと時々ピントの外れたフォードを始め、二つの顔と三本の腕を持つ超身勝手な元大統領ゼイフォード、腹が立つほど陽気な〈黄金の心〉号の船載コンピュータ・エディに、鬱陶しいほど陰気なロボット・マーヴィンと、おかしな連中が勢揃いです。彼等のやり取りが絶妙にかみ合っていない部分も見逃せません(笑)
 意外なところに伏線が張られていたりと、本書を読んでいるうちに「これは実は深遠な哲学的命題を扱っている小説なのではないか」と錯覚に陥りそうになるかもしれませんが、多分そんなことはないと思われます(^^;) たっぷり込められたイギリス流ユーモアを大いに楽しんでしまいましょう。

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック