混線次元大騒動

[題名]:混線次元大騒動
[作者]:キース・ローマー


※このレビューには前巻までのネタバレがあります。ご注意ください。

 〈混線次元シリーズ〉の第二巻です。
 前巻『多元宇宙の王子』にて、王国アルテシアでのドタバタに巻き込まれてしまった我らがラファイエット君ですが、本巻はまたまた別の世界へと飛ばされてしまうことになります。
 今回の舞台は、アルテシアに似て非なる異世界メランジ。ファンタジーのようなどこか不思議な世界へ放り出されたラファイエットの苦難の日々が始まります(^^;)

 先の事件で、王座の簒奪者ゴラブルが他世界へ追放したアルテシアの王子だったことが判明したラファイエット。彼は玉座を王女アドレインに譲り、自分は妻ダフネと共に悠々自適の生活をアルテシアで送ることにしました。
 それから三年――ラファイエットは何事も起こらない平穏な生活にすっかり飽きてしまっていました(贅沢です(笑))。しかしある日、彼は不意に庭園内で道に迷ってしまいます。うろつきつつ宮殿にたどり着くと、そこは何故か廃墟のように荒れ果て、そして人っ子一人いなくなっていました。
 何かおかしなことが起きていると悟ったラファイエットは、平行世界の犯罪を取り締まるセントラルへと電話しようとします。そうしている間にも、宮殿はみすぼらしい風車小屋へと変化し、彼は風車の腕木の一本にしがみついているという有様になってしまいました(^^;)
 ところが、セントラルでは何やら重大事件が発生しており、ラファイエットに関っている余裕がない様子でした。けれども、ラファイエットの〈心霊力〉はセントラルの混信遮断装置(サプレッサー)によって阻害されており、自力で対処することは不可能です。
 懇願するラファイエットに対し、〈連続体副捜査官〉プラトウィックはヒントだけを言い残し、電話を切ってしまいました。しかし、プラトウィックのくれたヒントは謎掛けになっていて、さっぱり意味が分かりません。
 日の暮れつつある中、ラファイエットはとりあえず考えを諦め、旅籠を探すことにします。辿り着いた、粗末で薄汚れた〈乞食亭〉で食事にありつこうとしたラファイエットは、そこの女主人スワインヒルドが王女アドレインにそっくりなことに気付き、仰天します。
 異世界メランジには、アルテシアの人々にそっくりな人間が大勢いながらも、各々アルテシアとはまったく異なる役割を演じていました。訳も分からぬままここへ連れ込まれたラファイエットは、またもや騒動に巻き込まれてしまうのです。

 本書の注目ガジェットは、平行世界メランジです。
 〈混線次元シリーズ〉の世界では、一つの世界を時空連続体(コンティニュア)と呼んでいます。この時空連続体は無数に存在し、基本的には互いに無関係です。(セントラルやラファイエットの〈心霊力〉を除く)
 各平行世界は少しずつ様子が異なるものの似通っているようで、ラファイエットの住むアルテシア世界にいる人間と同じ顔をした人間がメランジにも多数存在します。しかしながら、似ているのは顔だけで、地位や性格は異なる全くの別人です。ラファイエットはそこが今一つ意識し切れていないようで、つい失敗を繰り返してしまいますが。
 基本的に変わったところのない(恐竜が出現したりはしますけど(^^;))アルテシアとは異なり、メランジには妖精(エルフ)が存在し、独自のコミュニティを形成しているようです。(エルフと言ってもトールキン氏流の美しい種族ではなく、ドワーフっぽい印象)
 エルフ達は地底に居を構え、アジャックス社という会社を営んでいます。アジャックス社は空飛ぶ絨毯や隠れマントといったアイテムを開発し、それを提供することで利益を得ているようですが、それらは魔法ではなくあくまでテクノロジーの産物というのが面白いですね。

 前回以上に何が起きているのか分からない状況に陥るラファイエット君ですが、今度は〈心霊力〉抜きで立ち向かわなければなりません。平行世界の間を行き来したり、物体を取り寄せたりしたせいでセントラルのブラックリストに載せられてしまったらしく、〈心霊力〉が使えない状態にさせられています。
 ラファイエットはそんな状況でもへこたれることなく、自分なりの正義を貫こうとします。そのせいで貧乏くじを引くことも多々ありますが、それでもポジティブに行動する姿が好印象です。
 展開はかなりご都合主義ですけど、コミカルでテンポ良くお話が進んでいき、読者を飽きさせません。肩の力を抜いて楽しめる、痛快娯楽作品です。

この記事へのコメント

  • アグモン

    タイトルは混線次元シリーズとか多元宇宙の王子とかスケールがデカイけれどグレンラガンとかとある魔術の禁書目録とか遊戯王とは違い強さに関係しないのが非常に謙虚だと思う
    題名は混線次元シリーズとか多元宇宙の王子とか世界観設定が広大なのにグレンラガンとかとある魔術の禁書目録とか遊戯王とは異なり強力さに関連しないのが物凄く慎み深いよ
    2015年01月14日 23:41
  • Manuke

    〈心霊力〉は大抵のことが解決できてしまうので、そのままだとお話的に少々つまらなくなりそうです(^^;)
    気のいいラファイエットが四苦八苦するところが醍醐味ですし。
    2015年01月16日 21:56

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