彗星王の陰謀

[題名]:彗星王の陰謀
[作者]:エドモンド・ハミルトン


※このレビューには前巻までのネタバレがあります。ご注意ください。

 宇宙冒険活劇〈キャプテン・フューチャー・シリーズ〉の十一作目です。
 今回キャプテン・フューチャーの活躍する舞台となるのは、ハレー彗星です。大彗星の中では、恐るべき侵略者がその魔手を太陽系へ延ばそうとしていたのです。

 七十五年の周期を持つハレー彗星が太陽へ接近しつつあったころ、太陽系では一つの事件が持ち上がっていました。木星よりも少し外側の星域で、宇宙船が次々と失踪するということが起きていたのです。
 何十隻もの宇宙船が行方をくらますという状況に、惑星パトロールは隕石との衝突を疑いますが、掃海宇宙艇を派遣しても手がかりはありません。更に、事件の調査に当たっていた老指令エズラ・ガーニーと諜報員ジョオン・ランドールが、アンダース長官との連絡中に通信断絶し、行方不明になってしまうという事態に発展したのです。
 アンダース長官はもはや自分達の手に負えないと考え、キャプテン・フューチャーに助けを求めることにしました。知らせを受けたカーティス・ニュートンは、宇宙船が消失する星域がハレー彗星の近くであることを突き止め、両者に関連があることを疑います(カーティス以外誰も気付かないのが不思議(^^;))。
 愛機〈コメット〉でハレー彗星への接近を試みたフューチャーメンですが、突如そこから発せられた磁力ビームに捕らえられ、強制着陸させられてしまいました。彗星の核には、箒星人という人間種族が住んでいたのです。
 箒星人の王ソリックスは謎の存在アルルスがもたらした特殊な措置により、肉体を不老不死の電気人間へと作り替えており、カーティスにも同じ措置を受けるよう強制します。カーティスはそこで、彼の愛するジョオンが既に電気人間と化していたことを知るのでした。
 ソリックス王を傀儡とする謎のアルルスとは何者なのか、そして二人の運命やいかに。

 本書の注目ガジェットは、電気人間です。
 電気人間は全身が強力に帯電し、光を放つ状態となっている人間です。元々の箒星人は地球人と変わらないようで、おそらくはデネブ人の子孫なのでしょう。
 電気人間は不老不死で、病気にもかからないようです。食事の必要はなく、電気によってエネルギーを補給します。但し、その代償として不妊となってしまい、子供は生まれません。また、電気の補給が欠かせない為にハレー彗星を離れることもできなくなります。
 箒星人は科学技術を持っておらず、他の宇宙からやってきたアルルスのもたらす不老不死という甘い餌に、ソリックス王を始めとする支配階級はまんまと釣られてしまった訳です。フューチャーメンがハレー彗星を訪問した時点では箒星人は全員が電気化してしまっていたようですが、民衆はそれを望んでおらず、元の人間に戻ることを切望している状態です。

 シリーズを通じて影の薄いヒロイン・ジョオンですけれど、今回は活躍の場がいくつかあります。
 カーティスが他のフューチャーメンと分かれてジョオンと行動するシーンが多く、彼女が電気人間と化して手を触れることすらできなくなった二人の悲哀、そしてジョオンがキャプテン・フューチャーに対して抱く複雑な思い等が描かれます。
 こういう描写がもっと他のお話でも盛り込まれていればよかったのですが……。カーティスの恋人という位置付けなのにも拘らず、不遇のキャラクタですね(^^;)

この記事へのコメント

  • X^2

    この話は「タラスト」と共にもっと後の方とばかり思っていましたが、「魔法の月」等よりも前なんですね。

    > 宇宙船が消失する星域がハレー彗星の近くであることを突き止め、
    > 両者に関連があることを疑います(カーティス以外誰も気付かないのが不思議(^^;))。

    これは全くです。まあこのシリーズに限らず、ヒーローものではこの種の「何でこんな明白な事実に、ヒーロー以外の誰も気づかないんだ」という事がよくありますね。
    ところでこの話の年代設定は、ハレー彗星の位置と合っているんでしょうか?尤も、ハレー彗星の遠日点は海王星と冥王星の軌道の中間なので、冥王星までが版図に入るこの世界では、特に「75年ぶりの接近」という感じはないはずですが。
    2009年02月15日 15:14
  • Manuke

    > ところでこの話の年代設定は、ハレー彗星の位置と合っているんでしょうか?尤も、ハレー彗星の遠日点は海王星と冥王星の軌道の中間なので、冥王星までが版図に入るこの世界では、特に「75年ぶりの接近」という感じはないはずですが。

    あぅ、言われてみれば……。
    木星軌道の外側となると、恐らく尾もまだ伸びてないですよね。ここは弁護のしようがない(笑)

    確か裏設定だと、カーティスの誕生が一九九〇年とされていたはずです。
    ハレー彗星が木星軌道の外側に位置するのは近日点到達の一年前くらいになると思われますので、一番近い回帰年である二〇六一年の一年前、二〇六〇年辺りが該当年となりますね。
    ……カーティス君、御年七十歳です。ヴイトロンを使っても、もはや青年とは言えません(^^;)

    もっとも、作中では年代の明記は一切出て来なかったと記憶していますので、裏設定は見なかったことにして「遙か未来の出来事」と捉えるのが無難かも。:-)
    2009年02月17日 00:46
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